降り積む雪に囲まれた農家の灯りの中から聞こえてくるはた織りの音・・・。
素朴な味わいで知られる長井紬・米琉紬・置賜紬は農家の副業として、手工芸品として、またひとつの風物詩として、庶民とともに歩んできました。
その歴史をたどれば、天正年間から養蚕の盛んであったこの地に、いまから200年前、時の名藩主上杉鷹山公が産業振興策として、越後から、織物の技術を導入したのが最初だとされています。以来、その素朴な味わいの紬織は長井地方の特産物として大きな位置を占めてきたのです。
明治の中頃になってその名が全国的に知れ渡り、渋味のある味わいと丈夫な品質で広く愛用されるようになりました。
伝統を守ることの難しい現代においてもなお、絶え間なく続けられている努力と工夫は、昭和51年3月、通産大臣指定の「伝統的工芸品」として認められ、大きく開花したのです。
現在の長井紬は、真綿紬と玉糸紬アンサンブルの2種類が生産されています。
ともに絹のもつ独特の底光りを活かしていて、他の追随を許さぬ高品質の、いわば手作りの絣紬として愛用されています。(長井紬織物工業協同組合)
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