長井紬は農家の副業として生まれました。最初は、縞(しま)、格子などの単純な模様でしたが、長井紬にたずさわる多くの人々の努力と長い年月が、絣織物としての長井紬をはぐくんできました。
長井紬は、よこ糸に真綿紬糸、または玉糸を、たて糸には座繰り糸と玉糸を使っています。真綿紬糸は真綿からつむいで作られます。玉糸は二匹の蚕が共同で作った一つの大繭から製糸した糸です。ところどころに小さな節があるのが特徴です。座繰り糸は昔ながらの方法で製糸された絹本来の風味を持った生糸です。
玉糸と座繰り糸は長井独特の水撚りによって必要な太さに合わされます。このような糸をたて糸とよこ糸に使い、絣を作ります。
絣を作る行程は、意匠紙に図案を描き種糸に写し取る事から始まります。スミ付、絣くくり、すり込みなどの作業が続きます。どれも根気のいる手作業です。ていねいなそしてしっかりとした染色がこれを支えています。
こうして作られた絣糸は、一本いっぽん丹念に柄を合わせながら手織されて長井紬になります。吟味された糸と、それを織るまでの細かな心くばりは、長井紬だけが持つ豊かな風味をかもしだすのです。
それは柔らかさを保ちながら、とても丈夫で着れば着るほどにからだにしっとりとなじんで来ます。男物としても長井紬の風合は、着る人の心をとらえて離しません。手作りの絣の柄は、素朴な中にも個性的なセンスが光り、紬を織る長井の人びとの心を着る人に伝えているのです。
(長井紬織物協同組合)
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