FPのひとりごと

▼イノセントE

ポンタの興奮はなかなか収まらなかった



 『Mクン! なにが起きたか 教えて!』


 『だから〜 典型的なビギナーズラックってやつだって』


 『でも』 『なんで』 『あんなに』 『じゃらじゃら って・・』


 『だから〜 たまたまたまが・・』


 『アタシって 天才? 天才 だよね!』


 『いや だから〜 ・・』 


 『やだ〜 今晩絶対夢に見ちゃうよ も〜』


 『天才 天才 ハイ天才』


 『やっぱり』


 『 ・・・・ 』



通りすぎる通行人が振り返るほどのハイテンションのポンタ


『ちょっとお茶でも飲もう』 とM


少しクールダウンしないと 面倒が見きれないと感じていた

『ルノアール』の看板が見えたので とにかく押し込むように入った


コップの水を一息で飲み干したポンタが フーっと大きなため息をついた

そして


 『人生って なんかすごいね そう思わない? Mクン』


 『えっ なにそれ? 急に』


 『昨日までの私は奈落の底に沈んでいたの・・』


 『 ・・・ 』


 『でも そこでキミと出会って なぜか今日ここにキミといる』


 『なぜかって 無理やりじゃん・・』


 『いいの!』

 
 『でもって 夢のようなすばらしい一日を過ごしている』


 『パチンコで大当たりとっただけなのに・・』


 『きのうまでの私には まったく予想ができなかったの こんなこと』


 『へえーー』


 『確かに きのうのポンタは燃え尽きた矢吹ジョーみたいだったなあ』


 『プッ!』 『燃え尽きた矢吹ジョー!』 『それ 笑える〜』



そう言って ポンタは両手の人差し指をMに突き出した

そして その手を真上に伸ばして 大きな背伸びをした



 『なんか いろいろ吹っ切れちゃったよ Mクン ありがとう!』


 『ほんとにありがとう・・』


Mへのまっすぐな視線を少し上にずらして 目を瞑ったポンタ


その目から一粒の涙が零れ落ちた



 『どうしたの・・』


何事もなかったように笑顔を取り戻したポンタ



 『さあ 次 次 次いってみよう!』

 
2014.03.29:tnw

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