FPのひとりごと
▼イノセントM
会計をすましているポンタを置いて 一足先に店から出たM
新宿は あっという間に放射冷却で冷え切っていた
その寒さを感じた瞬間に 新宿の喧噪にまた包まれた M
何気なく空を眺めると そこには街に不釣り合いな星空が広がっていた
空が澄んでいるので 珍しく星の瞬きまでよく見えた
原色のネオンの瞬きが 星の瞬きと妙に同調していた
『おまたせー』
会計をすませたポンタが 遅れて店から出てきた
『ごちそうさん』 と振り返ったMに
『どういたしまして』 と言いながら ぴょこんとジャンプしたポンタ
見事にMのジャケットの懐に すっぽり収まった
不意を突かれてうろたるMに
『恥をかかせる気』 とポンタがMを見上げながら言った
その表情には優しさが溢れていた
その優しさに隠されたものをMは何となく感じることができていた
Mが両手でそっとポンタを抱きしめた
ポンタも両手をMに回した
その時 新宿の喧騒が跡形もなく消えたのだった
2014.06.07:tnw
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