FPのひとりごと
▼イノセントL
Mがトイレに立った時だった
店員がポンタを呼びにきた
レジ前で 中年の男がポンタを待っていた
男は うつむくポンタに向かって一方的に何事かを告げて帰っていった
Mより先に席に戻ったポンタ
なにげに 窓の外の新宿の雑踏を眺めていた
ちょっと前までのテンションとは明らかにちがっていたが
Mが戻ってくると 一瞬天井を見上げてから笑顔をつくり
『すみませーん ビール2本!!』
『オレ そろそろ水割りかなんか・・』
『いいの! アタシも飲むんだから!』
『ハイ!』
ポンタの勢いに素直に従うほろ酔いのMだった
そして 何度目かの乾杯の後
『Mクン アタシもう帰んなきゃ・・』
唐突に そして申し訳なさそうにポンタが切り出した
『おっ もうそんな時間か』
と切り返したMだったが その表情には明らかに狼狽が見えていた
Mには“もうちょっと”という思いが芽生えていた
もうちょっと・・ それは時間であり ポンタへの距離感でもあった
『アタシね 明日から仕事に復帰するの
いろいろあって 仕事に行けなかったんだけど
Mクンに会って いっぱい元気もらって 楽しい時間をすごして
そしたら やっといろいろふっ切れて やる気も戻ってきたの
ほんとは Mクンと飲み明かしたいんだけど
今でも 正直 気持ちは半々なんだけど
いつまでもMクンに 迷惑かけてらんないし・・』
そう言って グラスのビールを一気に飲み干した後
『しょうがないから 解放してやるか 片思いのMを!』
満面の笑みで ポンタはMにそう言い放ったのだった
2014.05.12:tnw
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