FPのひとりごと
▼あのバックトスを忘れない・・
突然の訃報というのは 正にこういうのを言うんだろう
私のスポ少の教え子が元日に死んだ 高校3年生 18才でだ
信じられない・・
あだ名は『イノリ』だった 名前をもじったものだ
明るいけれど 口数が少なくて 目立たない子だった
人を押しのけてまで レギュラーになりたい子ではなかった
まじめな子で 練習を休んだという記憶がない
技術も体力も人並みだったが なかなかレギュラーにはなれなかった
同期の子達が 4〜5年生でレギュラーになっていくのを見てて
精神的に辛かったのだろうに おくびにも出さずに練習に参加していた
5年生の後半ぐらいからレギュラーの座をつかんだ
セッターを任せた
でも 最初はなかなかうまくいかなかった
いいトスを上げるのではあるが アタッカーとの呼吸が合わない
すると 気の弱いイノリは 責任を自分でしょいこんだ
でも私は彼女を使い続けた 代わりがいなかったからだ
6年生になって 全国大会予選の前に 米沢に練習試合に出かけた
我がチームは その日絶好調で1セットも落とさなかった
3セット目だったと思う
相手チームのサーブ バックセンターがAパスのサーブレシーブ
セッター(イノリ)は ライト方向を向いていたので
私を含め誰もが ライトにトスを上げると思っていた
相手のブロッカーもライト側にシフトした
が セッターはレフトにバックトスを上げた
高くて柔らかい見事なトスだった
ノーマークのレフトが それを相手コートに叩きつけた
一瞬だけ静寂があって その後拍手が巻き起こった
それは 小学生のレベルとはとても思えなかった
イノリが最高に輝いた瞬間だった
周りの賞賛の声に イノリはちょっとはにかんだ笑顔を見せていた・・
スポ少の雑事を一生懸命手伝ってくれていたお母さん
そのお母さんも 一昨年亡くなった
この春からは 専門学校への進学が決まっていたというのに
なにもかもすべてが これからだというのに
母の分まで生きていかなくてはいけないというのに
なんとも なんとも 慙愧に耐えない
でも
イノリのこと そして あのバックトス
私は一生忘れない
安らかに
2014.01.06:tnw
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