FPのひとりごと

▼イノセントA

Mはヘンな男だ

キャンパスのアイドルとか職場の花とかに全く興味がないのだ

単に審美眼の問題で 本人はそれをまったく気にしてはいないのだが

友人たちの間では 「ブ○好みのM」とあだ名されていた

でも並みの男なら尻込みしそうな美形にも全く臆することはなかった

なんのことはない Mにとって世間様の美形は普通の女の子だったから

でも そのフランクさが美形の方に 逆にウケることもあり

たまに 妙な相関関係を形成することもあった


スポットライトの女の子?は みんなに“レッドちゃん”と呼ばれていた


一つのバンドのライブが終わり ふっと静寂が舞い降りた時だった

いつのまにか レッドちゃんがカシスオレンジを持ってMの隣に座った


  『ねえ 名前は?』

  『M』

  『わたしは・・』

  『レッドでしょ』

  『レッドはここでだけ ポンタと呼んで』

  『ポンタ?』

  『子供のころからのあだななの』

  
  『へんなの』  『さっき なんであんなに落ち込んでたの?』

  『 ・・・ 』

  『あっ ゴネン いやなら言わなくていいよ』

  『いいの ・・ 私にとって大事な人をなくしたの・・』

  『そうか そりゃたいへんだったね』

  『Mクン 学生?』

  『そう』  『ポンタは?』

  『なんだと思う?』

  『 ・・・ 』

  『興味ないんでしょ私に』  『Mクンは正直ね』


そう言って ポンタは屈託のない笑顔を見せた

それは先ほどまでの落込みが信じられないほどの輝く笑顔だった


  『Mクン お上ぼりさんでしょ!』

  『失礼な!』  『でも まあそんなとこだね』

  『東京 案内してあげようか?』

  『いいよ バイトしばらく休めないし』

  『1日くらいいいじゃない』

  『だって なんで初対面のコと・・』


Mがそう言いかけたとき

ポンタの取り巻きみたいな連中が声をそろえた


  『いってやれよ!』 と


バイト仲間の一人が

 
  『バイト先にはオレが言っとくから』  とウィンクした


Mにはまったくわけがわからいまま 二人の東京見物?が決まったのだった   
2014.03.25:tnw

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