FPのひとりごと
▼府中刑務所奇談C
今 テレビを観てたら
今年のトレンドで『3G』っつーのがあるんだって
曰く 『いくG』 『チャラG』 『スタG』
Gは爺ちゃんだそうで
『いくG』は孫の育児に燃えるG
『チャラG』はチャラ男系を目差すG
『スタG』は勉強(スタディー)するG
って なにが3Gだよ! 誰がんなもん目差すかよ!
んっ あれっ ちょ待てよ これって・・
全部 私が目差す理想のG像じゃねーかよー
まあ いくらなんでもまだGはちょっときついから
『3O』で Oは『オジサン』『おっちゃん』または『おやぢ』
ということで 今年の私の目標は『3O』に決定! がんばろう・・・
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
府中刑務所の塀は 四角形であったが
正式な入り口?は一つで 出口専用の門がいくつかあった
私の勤め先が面している弊にある門は 年に数回しか開かなかったが
そこは“怖い系”の幹部の方が出所されることが多かった
幹部の方の出所ゆえ 肩書き?によって“お迎え”の規模もちがった
門の前の敷地は狭く 車が数台で満杯になってしまうので
大物になるにつれ 府中街道への“路駐”が増えてくる
府中街道は片側一車線で なおかつ道幅も狭いので
片側だけならまだいいが 両方向に黒塗りの大型乗用車が連なってくると
我が社近辺は 交通渋滞とともにちょっと異様な雰囲気に覆われる
刑務所も そこいらを考えて出所時間は早朝にするのであるが
すぐ近くに『刑務所角』の交差点もあり 早朝でもすぐ渋滞した
タクシードライバーには どちらかというと気の短い人も多く
スタンドの入り口近くに 誰かが路駐でもしてようものなら
クラクションの嵐と怒声の一つも浴びせるのは珍しい光景ではないが
さすがに この時ばかりは 雰囲気を察して誰もがおとなしくしている
ある日 早番で出勤すると
スタンドの構内が黒塗りの乗用車十数台で埋まっていた
府中街道を見渡すと 路駐ももういっぱいいっぱいでスペースがなく
溢れた車が 我がスタンドになだれ込んできたのであった
こんだけの台数なら こりゃかなりの大物の方のお迎えなんだろう
それはいいのだが まもなく開店の時間だし準備もいろいろあるしと
私 この異常事態にテンパってしまいました
やれる準備だけはやっておいて 後は“どいていただく”だけにしたのだが
『そろそろ開店の時間なので 出て行っていただけますか』
この一言が言えない・・ 無理だって 絶対
よほど肝っ玉が据わってなければ あの場であの方々にものは言えない
がしかし テンパっていた私は無謀にも意を決したのだった
開店時間を目前にして ついに 私は
『あの〜 そろそろ・・・』
と言いかけたとき 車内の方々が一斉に門に向かって殺到した
なんのことはない 出所の時間が来たのであった
結局 数十分後に自主的に御退出いただいたのであるが
スタンドの構内には 弁当の食いガラだけが残されているのであった・・
2012.01.05:tnw
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