FPのひとりごと
▼府中刑務所奇談B
いや〜 正月早々 3日もさぼってしまいました
ノホホ〜ンと暮らしてしまい 気力レスでありました
それにしても な〜んにもない正月でした な〜んにも
おせちやお雑煮がないのは いつものことなので なんともないのですが
箱根駅伝は東洋大が強すぎて全然面白くないし
毎年 午後からはチャンネルを行ったり来たりして対応する大学ラグビーも
常連の早稲田・慶応・明治が早々敗退してしまい全然盛り上がらない
まあ こういうベタな正月もイイか・・
ということで 今年もよろしくお願いいたします
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
新年一発目の話題が府中刑務所というのもどうかとは思いますが
私の場合 ここで躊躇すると間違いなくシリーズが消滅してしまうので
そのリスクから脱するためにも 敢えて取り上げさせていただきます
私がいたガス屋さん LPガススタンドもやっておりました
ご存知かどうかですが タクシーの燃料の99%がLPガスです
早朝(確か6時)から深夜(確か10時)まで365日営業してました
タクシードライバーさんとは随分懇意にさせていただきました
約10分の給油とはいえ 週に3〜4回も会ってれば仲良くもなります
ドライバーさんにも いろんなタイプの方がいらっしゃいました
当時 東京都では民間タクシー会社で二十年間無事故無違反なら
個人タクシーの免許がもらえるという制度があり
その日を迎えるために 日夜 接客に励まれる謹厳実直な方もいれば
『ついこないだまで“そこ”に入っていたんだよ』
などと 顎でトイメンの刑務所の塀を指し示す不敵な面構えの方もいらした
時代はまだバブル前ではあったが 乗車拒否などは普通にある頃で
ドライバーも常に不足していて 常時募集中という状態だった
このドライバーのタクシーには絶対乗りたくないという方が
残念ながら 全体の15%くらいはいらした
ある朝 早番で早朝出勤した私
いつものように 一人で開店の準備をしていると
一人の中年男性が 黒いカバンを持って現れた
『水道お借りしていいですか?』
『どうぞ』
忙しかったので 仕事をしながらテキトーに対応した
彼は カバンをごそごそしながら洗面道具を取り出し
歯を磨いて 顔を洗っているのだった 早朝のスタンドで
呆気にとられて見ていると 手を広げて背伸びをしながら
『あ〜ぁ シャバの空気はうめーや』 とのたまった
どうも “出られて”すぐのところだったらしい
少し背筋がゾクゾクしたが なかなか見られる光景ではないし
素直な喜びの表現に こちらまでちょっと嬉しくなった
数ヵ月後 なんとその彼が新人ドライバーとして現れた
周囲に笑顔を振りまきながら挨拶を交わしていた彼
私のところに来て 笑顔のまま押し殺した小声でこう言った
『わかってんだろうなあ』
それは有無を言わせぬ迫力だった
2012.01.04:tnw
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