FPのひとりごと

▼府中刑務所奇談A

まずはジャブから
と言っても 軽いジャブではなくヘビーなやつを・・


いくら町内に刑務所があるといったって
中の“宿泊者”の皆様にお会いする機会はない
(唯一あるのは出所のときだが それは後で・・)
そりゃあやっぱり シャバとは隔絶された世界だから当然だ
でも 一年にいっぺんだけ施設をオープンにする日があった
(とはいえ 勿論 宿舎の中を見せるということではなくて)
普段入れない敷地をオープンにし 職員との交流をする日だ
(○○祭り とか △△フェスティバル みたいな感じだった)

野外で地域住民に焼きそばとか焼き鳥などを振舞うのであるが
燃料(LPガス)とコンロなんかを貸し出すのがうちの役目だった
そこは ちょっとした『ガリバー旅行記』体験版みたいな世界だった
とにかく ハンパなくドデカイ職員がうようよいるのである
相撲なら大相撲の力士級 柔道なら無差別級だ 間違いなく
刑務官の方々であった
交流が目的なので みなさん笑顔に溢れているのだが
おい 君達! 目が笑ってないぞ!!
あのガタイと眼光が“塀の中の現実”を雄弁に物語っていた
もしリングに上がれば・・ ?  U−−m 30秒持たないだろう

大工場と刑務所の間にあるという特殊な立地ゆえか
そこいらへん一帯には 飲食店がほとんどなかったが(当時は)
ポツンと一軒だけ ハンバーグ屋さんがあった
小さいお店だったが ハンバーグとステーキが抜群に美味かった
ガスのお客さんでもあり 私は結構足繁く通わせてもらった
定番は やはりハンバーグだ
目の前の鉄板で焼いてくれるのだが g数を50g単位で指定できた
私の場合 空腹度で 200〜300gをチョイスした
300g+ライス+サラダで ガッツリ度は120を優に越えた

ある日の食後 何気にシェフと話していて
とんでもない実話を聞かされてしまった

 『こないだ来た刑務官のハンバーグ 皿からはみ出しちゃったよ』

ここの皿は鉄板の上に乗っているのだが
300gでも かなりの存在感は醸し出していた

 『で それって 何gだったの?』

 『2000g』

 『  ・・・・  』


2kgの肉を食らわねば生き抜けぬ世界 ハードボイルドである

 
2011.12.30:tnw

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