FPのひとりごと
▼桂寛氏の憂鬱
金桂寛(キム・ゲガン)さん 知ってる?
北朝鮮の外交官で マスコミにもよく登場するので
顔を見れば 『ああ あのオッサン!』 になるでしょう
将軍様の信頼も厚く 重要な外交の表舞台には必ず顔を出す
今回の六カ国協議の下交渉になる米朝協議にも単独でNY入りした
桂寛さん 細目に黒縁眼鏡だがエリート臭はしない
というより 笑顔がキュートな普通のおじさんに見える
あの笑顔 外交交渉では かなりの武器になると思うがどうだろう?
とはいえ 国内ではエリート中のエリートなんだろう
国内・国外の情勢を知り尽くした上で 国益のために外交交渉をする
それだけでもハードなのに 失敗したら一族郎党とも命の保障はない
NYで泥酔しているところをTVに撮られていたが 気持ちはわかる
今回の交渉は かなりタフだ
北朝鮮としては 来年の“強盛大国”に向けて とにかく外貨がほしい
今のままでは 強盛大国どころか“強制退国”になってしまうからだ
『金日成主席生誕百周年』の特配どころか日常の配給すら黄信号の現状では
なんとか米朝直接交渉に持ち込み 平和条約からの援助獲得といきたいが
米国は過去の苦い経験から 前段の六カ国協議は絶対はずせない
六カ国協議となれば 核査察(→核放棄)は避けて通れないが
いまさら 将軍様が自らの懐刀と化した核兵器を放棄などできるはずもない
それならと 一昔前のように 韓国に経済支援を頼もうにも
それには哨戒艦沈没事件と延坪島砲撃事件の謝罪が必要になる
大統領選を来年に控えた韓国側が安易に妥協するはずもなく この線もない
日本は拉致問題が進展しない限りは 単独の支援などありえない
となると 消去法で米朝対話しか残らないが かくの如く展望は全くない
彼は そこいらへんの事情を勿論いやというほど知りつくしているのに
妥協は表面上絶対せずに けれども果実を必ずや持ち帰らねばならない
いやいやいや 彼の心中 察するに余りある
彼は 国際社会での自国の客観的ポジションは当たり前に見えている
独裁国家で圧政で最貧国の一つで世襲による歪な統治システムも知っている
賢明な彼は それを知った上でも将軍様のためにタフな交渉を引き受ける
自分の仕事が国家というより金王朝の維持に繋がっているのも知っている
一体 彼を突き動かすモチベーションってなんなんだろうか
マンハッタンの高級ホテルのバーラウンジで
彼の地の圧倒的な豊かさと自由を感じながらグラスを傾けるとき
彼の胸に去来するものは一体なんなのだろうか 聞いてみたいものだ
2011.08.02:tnw
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