FPのひとりごと

▼Kさんのこと@

Kさんは小野田寛郎に似ていた・・


小野田さんといったって もう知らない人が多かろう
敗戦を知らずにルバング島に潜伏し 29年後に帰国した人だ
面長で細目で 失礼ながらセピア色の写真が似合う方であった
Kさんは その小野田さんに とても似ていた

Kさんは大学の学部の先輩で 歳は私の3つ上だった
私が1年生のとき 同じアパートに住む先輩から紹介された
そのときは 長髪に髭面で まさに敗残兵という趣であった
バンカラ学生から若さと精気を抜いたようなそんな感じだった
でも なんだかウマが合って それから4年間もおつきあいした

Kさんは司法試験浪人だった
司法試験は法学部の学生であれば 一度は受験を考えてみる代物だ
阿呆学部の学生だった私でさえ 一瞬は考えた ほんの一瞬
でも だいたいは自分の実力と現実を知り撤退していくが
一部には 撤退せず というより できなくなる人々がいた
私が知っている方では 30歳を優に超えている方もいた
こうなってしまうと受験そのものが仕事のようになってしまう
仕事といったって収入はないから 親からの仕送りに頼っている
親からしたらたまらんが 見方を変えればこれもハードな人生だ
だって いまさら就職しようとしたって 採用してくれる会社はない
もう後戻りできないのに 先は全然見えないんだから

Kさんは仕送りを断ち バイトをしながら勉強していたが
私が卒業する頃には 受験もしていなかったような気がする

Kさん いま なにをしているのだろうか・・


2010.10.19:tnw

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