FPのひとりごと

▼“矢切の渡し”と私・・B

ちあきなおみ の『矢切の渡し』
あれは 極論すれば情念の歌だ
情念が ほとばしり うねり 突き刺さる
歌詞の内容は まるで旅回りの大衆演劇の世界
『○○今生の別れ』とか『△△心中』なんてのが似つかわしい
若き日の梅沢富美男なんかが演じればハマる気がする

楽曲の音楽的完成度からいったら細川たかしの方が上なんだろう
細川のとちがい“ちあき”の方が賞に縁がなかったのでもわかる
でも ある一定(一部分)の人の胸に深く突き刺さり魂を揺さぶるのは
“細川たかし”ではなく 圧倒的に“ちあきなおみ”の方だ
“一部分”というのは いろんな意味で“ギリギリ”で生きている人のこと
ギリギリで生きている人には人生の境界線が垣間見えている
その境界線の向こうになにがあるのかも知っている
そういう人だけが“ちあきなおみ”の『矢切の渡し』に共鳴する
私には 脱いでなんぼの世界でギリギリで生きているストリッパーが
ちあきなおみ の『矢切の渡し』に共鳴するのが理解できた
というより 劇場に通う回数を重ねるうちに理解できるようになった

そして 『矢切の渡し』が好きになり

ちあきなおみ が好きになった


2009.11.17:tnw

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