FPのひとりごと

▼生と死の境界線A

第一幸福丸の生存者3名の救出

これ自体 驚異的で まさに奇跡そのものだ
4日間もほとんど飲まず食わずで
暗い 狭い 不安定な場所で 横になってすごす
それだけで 修行僧の荒行以上にハードであろう
荒行にはゴールがあるが ここにはない
それどころか 常に迫り来る“死”の恐怖と戦わねばならない
途中で限界を超えて 発狂するか無茶しても全然おかしくはない
それぐらい ぎりぎりのところに置かれていての救出
『ダイハード』や『タワーリングインフェルノ』がかすんでくる

ここでの生と死の境界線が実に意味深で深淵だ
台風に遭遇して第一幸福丸が転覆する寸前に
船長と4名の乗組員は船外に脱出した
専門家でないから その判断が適正だったのかはわからない
今回救出された3名も『逃げ遅れた』と言ってるところをみると
その場の判断としては船外脱出が最善だったのかもしれない
しかし船長は救命ボートで死亡 他の4名は行方不明
結局 逃げ遅れて結果的に船内に取り残された3名が助かった
取り残されたのも冷蔵庫が邪魔をして脱出できなかったからだという
これを“運命”と言わずしてなんと言うのだろうか
取り残されたのが3人だったというのも かなり絶妙だ
一人では 孤独に耐え切れず まちがいなく判断ミスをしている
二人では 意見が対立し 行動が分裂していたかもしれない
三人なら 多数決で無茶な行動を否決することができる
実際 今回も若い船員さんが脱出を試みようとしたとき
ベテランの二人がそれを制止し 結果的に全員助かった

自分の場合もそうだが 生と死の境界線は
ありふれた日常のありとあらゆるところに存在し
それは運命という人知を超えた存在に支配されている
そうとしか思えない 体験者にとっては

それにしても
特殊救難隊=海猿の若者はイイねー
自分の命を賭してギリギリの救難活動をしているのに
その熱い思いをぐっと胸ににしまいこみ
遭難者のことを気遣いながらも状況を冷静に語る
それが逆に壮絶な出来事であったことを雄弁に物語る
決して奢らずたかぶらず職務に徹するプロフェッショナル
若い隊員のインタビューを聞いてて涙が出てしまった
もうちょっと若くて 体が動くなら などと嫉妬までしてしまった

ああいう若者を見ると 日本もまだ捨てたもんじゃない と思う



2009.11.04:tnw

HOME

copyright/tnw

powered by samidare