FPのひとりごと

▼永遠のマドンナD

アルバイトで寝る暇もなかった学生時代
K子さんのところに通えるのは
せいぜい週2回が限度だった
当時閉店は11時だったが 
10時ぐらいにバイト先から駆けつけるというのが
いつものパターンであった

カウンターでK子さんの笑顔を見て
ボーっとしているだけで あっという間に閉店時間!
“一般客”は三々五々に帰っていく
ところが 私だけにK子さんが『待ってなさい』と目配せ
客がみんな帰って 店には従業員と私だけ
お店はK子さんとK子さんのお母さんと板さんの3人でやっていたが
K子さんのお父さんが経営者で市内で3店舗の経営をしていた
K子さんは じつは“ええとこ”のお嬢様だったのだ

10分ぐらいで片付けがおわると
いわゆる“まかない”の時間になる
そのまかないを貧乏学生である私に振舞ってくれるのである
K子さんのお母さんはちょっと天然が入ってはいたがいい人だった
板さんにも気に入られ よくバイクでアパートまで送ってもらった
でも なんといってもK子さんが私を特別扱いしてくれるのが
たまらなくうれしく 気持ちがほくほくして最高に幸せだった
当時さんざっぱら乱れた生活をしていたのに
ここだけは まるで別世界で夢を見ているような気分だった

K子さんのことは もちろん好きなのだが
恋愛の対象になどしてはいけないという心のブレーキが常にかかっていた
なぜなら恋愛の対象を飛び越えて 女神のような存在だったから
だから『守る会』などという意味不明の会があったんだろう

ある日 意を決してK子さんを店外に誘い出すことを計画した  夏の日
2009.07.09:tnw

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