その後の暮らしNo.06 自然と暮らす森の家

  • その後の暮らしNo.06 自然と暮らす森の家
木々がうっそうと茂る山間の傾斜地に、まるで自然の一部であるかのように静かに佇む望月邸。
玄関から続く土間を裏口へと抜ければ、枕木を敷いた通路が数十メートル続き、
その上を奥へと進めば、3つの畑と果樹棚が広がっています。
その光景はまるで一枚の絵画のようで、この家が自然と共生していることを伝えてくれます。

元々は都会に住んでいた望月さんご夫婦は十数年前に小野町を訪れ、この山間の土地にひと目惚れ。
購入を決めて以来8年の間は、うっそうとした雑木林を理想の庭に近づけるために、
毎週お二人でこの地を訪れては、作業に明け暮れたそうです。
ようやく庭と畑が完成に近づいた頃、この地に暮らしの拠点となる家を建てることを決意されました。
OMソーラーを導入し、完成した望月邸は、山間部という環境にあっても、
夏は過ごしやすく冬はあたたかな住環境をお二人に提供してくれているということです。

春から秋にかけては早朝から畑と庭の世話を焼き、冬が近づくにつれ、薪小屋との往復が続く日々。
田舎暮らしは楽ではないとご主人は話されますが、
雄大な自然に囲まれたお二人の暮らしは、憧れてしまうほど豊かなものだと感じるのです。
(取材/粟野智晴)
住まいと畑をつなぐ通り土間は、野良仕事の合間の休息所となっています。夏はひんやりとした心地よい風が、床の敷き瓦の上を吹き抜け、また冬になれば、鉢植えされた植物達の温室として利用できるあたたかさを保ってくれます。ご夫婦の生活に、無くてはならない存在です。
絵本作家“ターシャ・テューダー”のような暮らしに憧れていたというご夫婦。今ではたくさんの種類の野菜、果樹、花を育て、夢を実現され、畑仕事が日課の様子です。季節ごとにやることがあって大変と言われながらも、季節の移ろいを体で感じ、充実感が伝わってきます。
食卓には、採れたて野菜や果物を使った料理が並びます。ご夫婦で力を合わせて育て収穫した素材の味わいは、格別なものではないでしょうか。採れすぎた野菜やできあがったおかずは、ご近所さんと分け合うなど、ご夫婦・ご近所仲良く暮らせる秘訣にもなっているようです。
傾斜地という環境を巧みに使い、自然と共存する望月邸。家本体のつくりはもちろんのこと、広大な庭と畑という外構も含め、森の家としてのひとつの解ではないだろうか。通り土間で庭との往来をスムーズに、またOMソーラーを導入し、冬はあたたかく夏は涼しい住まいを実現している。
<望月邸>
2004年3月 新築 木造軸組平屋建
● 設計 Yu工房
● 床面積 91.90m2(27.7坪)
● 車庫床面積 22.35m2(6.8坪)
● 延床面積 114.25m2(34.5坪)
● 主な仕上げ 屋根…ガルバリュウム鋼板
外壁…無垢板貼り(杉)
内部(床)…無垢板貼り(唐松)
内部(壁)…ボワール吹付け塗り
2014.02.10:樽川技建 株式会社:[住まい手紹介]