なあまずノート
▼(89)『杉浦日向子の 食・道・楽』
杉浦日向子、鈴木雅也:写真(新潮文庫 平成22年)
著者は平成17年に46歳で亡くなった漫画家・エッセイストの杉浦日向子。
テレビで観る、和服を着て江戸を語る姿が懐かしい。
この本の写真を撮った鈴木雅也は実の兄で、「妹としての杉浦日向子」という文を寄せている。
江戸の粋を愛し、実際に彼女は、町を歩き、街中の蕎麦屋にふらりと立ち寄り、お酒を愉しみ蕎麦をたぐる。また、風呂屋(銭湯)をみつけると、やはり寄らずにはおれず、ひと風呂浴びて、またそぞろ歩く、ということを喜びとしていたようである。
それでいながら、一本芯が通った美しさを感じさせる雰囲気がある。
愉しむことにおい、じつにある意味ではストイックさを感じるほど、粋であることにこだわりがあったのかもしれいないと感じる。
また、兄の文章を読んでいると、江戸(東京)で生まれ育った環境も、半分ぐらい関係があるのかもしれないとも感じる。
「ほろ酔い気分」という文章がある。
・・・ひとは気持ちよく酔うために呑む。ちっとも酔わないほどなら呑まない方がいい。その酔いかたが、おのおの切実な問題だ…
・・・基本は、ちゃんと食べながら呑む。ちゃんと食べられなかったら、呑むのをやめる。とにかく食べなくちゃ、駄目だ。
・・・「呑むなら食え、食わぬなら呑むな」・・・
そうだ、そうだ、同感である。
私的に、このことばを頼みにする。
でも、「呑めぬほど、食うな」と言われるかもしれぬ。
ほどほどに、お酒も食べることも楽しみ、乱れないうちにさっと余韻を残して帰ろうではないか・・・?!
画像 (小 中 大)
2011.04.23:あら
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