なあまずノート
▼(84)『人生激場』
三浦しをん (新潮文庫 2006年)
作家の身辺のことを綴ったエッセイなのでありますが、これが、かなり妄想の世界に引き込まれたり、等身大の女性(連載当時は20代後半)の話に戻されたりするのがここちよかったりします。
そう、このエッセイを書いているのは20代後半としても、おやっじっぽい正義感とか人情のような機微も感じられる。
あとがきに著者が「微妙な刺激物」という表現をしている。
(引用)
幸せになりたいとも、幸せだとも思わないまま、しかし幸せとはなんだろうと考えることだけはやめられない。町で見かけた楽しい出来事や、ちょっと変わった人などを、「微妙な刺激物一覧表」に書き加え続けている。もしかして、幸せの傍観者であることが、私の幸せなのか。それってちょっとま哀しすぎやしないか。
エッセイにはこの微妙な刺激物で満ちている。
そうして、著者の妄想はふくらんでゆくようであるし、ある意味では彼女自身も「微妙な…」の一人ではないかとも思える。
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2011.04.05:あら
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