なあまずノート

▼(77)『わたしの普段着』

吉村 昭:著(新潮文庫)
エッセイ集

「日々を暮らす」「筆を執る」「人と触れ合う」「旅に遊ぶ」「時を経る」
五つの構成でおおまかに分けられている、58篇のエッセイ集。

物腰はやわらかく、しかし一本筋のとおった感がある人柄を感じさせられる文。
ほどよいユーモアと、気負わぬ言葉に、どんどんと読み進んだ。

戦中・戦後の時期、肺結核の末期状態になりながら、肋骨の一部を切るという賭けのような手術によって、死を覚悟した状態から回復したことを思えば、なんという幸せなことか…。
こうした経験が、このエッセイを通して吉村の生き方に投影されているのだろうと思う。

「大安、仏滅」「不釣り合いなコーナー」「変人」「一人で歩く」「床屋さん」などが面白い。

著者は取材のために、国内外そうとうな回数と時間を旅している。
その中で、「雲井龍雄と解剖のこと」というエッセイで、取材のため米沢を訪ねた由、記してあった。

画像 ( )
2011.03.05:あら

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