なあまずノート
▼(57)『新しい環境問題の教科書』
池田清彦:著 新潮文庫。
先日、池田清彦氏の講演を聞く機会がありました。2時間余りの時間、休憩なしで一気に話をされていました。
刺激的でした。
今まで思い込んでいたことが、じつは、違うんじゃないのっていうことを、東京の下町の人のような、歯切れの良い語り口で話しておりました。
さてこの本です。
いまや合言葉のように「地球温暖化対策」「CO2削減」ということが口にされています。
私も、行政側に立って、環境学習というとそれをやらなければ、ということを思っておりました。
マスコミもそうでした。やはり、報道や映像を観て信じて疑わなくなっていたように思います。
これは、たしかに宗教ですね。
本当のことがなかなか見えない。
専門家が言っているのだから、きっとそうなんだろうとね。
2045年には世界中の原油が掘りつくされ、日本はエネルギーに困ってしまう。
温暖化で40〜50年後には日本の低地は水没するだろう、というように。
だから、今からCO2を排出しない生活をし、石油を少しでも長く使えるように…。
そういうほうへ、信じようとしていた。
著者は、このことがまずおかしいことであるとしている。
原油がいずれなくなるでろうこと、そのことについてはそうであろうとしている。
しかし、地球が温暖化しているということ自体と、それがCO2だけが原因であることに、根拠がないとしている。
本当の地球規模の環境問題とは、エネルギーと食糧の問題としている。
いかに、世界各地の実情に合った新しいエネルギーをつくりだしていくか、増加していく人口を養える食料をどのように確保していくか、これが一番の問題であると。
そういう観点から言えば、少子化問題とは本当に問題なのだろうか?ということも言っている。じつは、日本の約一億二千万人の人口は必ずしも適正な数ではなくて、もう少し少なくてもいいのかもしれぬ。
ごみとリサイクルの問題で、とても身近な例を上げている。
ペットボトルのリサイクルの無駄と、専用ゴミ袋について。
お金をかけている割に、使える品質にならないPBリサイクルは無駄であり、むしろ燃やしてしまった方がよいのではないかということ。
それから、石油からわざわざ燃やすだけのために専用の袋を作りだす無駄。
リサイクルで作るスーパーのレジ袋のほうが無駄にならないではないか…。
というような例をひかれると、頭に入ってきやすい。
環境問題の思い込みや、矛盾、ということを気づかされた。
画像 (小 中 大)
2010.12.18:あら
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