なあまずノート
▼(56) 「気づき」の力
柳田邦男:著 (新潮文庫)
「生き方を変え、国を変える」という副題がついております。
柳田邦男のノンフィクション作品や、コラムは以前に集中して読んでいたことがあり、マスコミによる報道をどう読むか(報道そのものを鵜のみにしない)ということを、なるほどなるほどと感じていたものでした。
さて、この本はどうかというと、なかなかすぅっと入ってこなかったというのが正直なところでした。
ただ、大学生になった息子が心を病んでいることに気づき、それに対しての自分の心の動きや対処について、困惑し、信頼できる人に相談し、「内観」を体験し…、というところが興味深かった。
結局、息子さんは自死という、残念な結果になってしまった。このことについて、著者は答えの出ない問いを、常に自分に課して行くことになるのだろうということなのだろう。
生き方を変え、国を変える。
私流の理解にしてしまえば、国というものを構成する最小単位(国でなくてもいいんですけどね)は個人であります。そして、家族があり、地域コミュニティがあり、そのほか学校や職場という異なる様々なコミュニティがあり、とりあえず国家という単位でまとまる。
そういうことでいえば、個の生き方が国の在り方を決めると言ってもいい、ということなのだろうね。
それにしても、生まれた国のありようで、すぐ生命の危機にさらされてしまう国が世界中にいっぱい存在しているのである。
とりあえず、ものごころつくまで、生存する確率がそうとう高い(はず)の日本では、自分の生き方を変えることで、国を変えることはできるかも、そんなふうには思ったのでした。
画像 (小 中 大)
2010.12.12:あら
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