なあまずノート
▼(50) 『まほろ駅前多田便利軒』
三浦しおん:著 文春文庫
また三浦しおん、である^^;。
東京のまほろ市という、東京のはずれながら横浜と境を接している中核都市の駅前で、多田便利軒というおかしな名前の便利屋を営む多田という中年の独身男の前に、高校時代の同級生だが相当な変人として全く関わり合いのなかった男である行天が、突然現れる。
ここから、行き場がない(と思われる)行天と多田の二人が、便利屋の仕事をきっかけに始まる、奇妙な出来事が起こるのだが。
一気に読ませられてしまって、不思議な感じがしてしまう。
多田という男もかなり変わった男で、便利屋という仕事、例えば病気見舞いの代理、というおかしな状況から話が始まる。
しかし、それ以上にかなり風体と言い物言いと言い変人チックな男が現れたことで、何かしら暗い思い影を背負いながらもちゃんとした人間に見えてしまう。
いきがかり上、自分の事務所にその男を住まわせ、特に期待もしないながら仕事を手伝わせる。
そうしているうちに、高校時代には想像できなかったその行天という男が少しづつ垣間見えてくる。
正月中のペット預かり、生意気な子供の塾の送迎、娼婦の家のフスマ修理、小屋の整理といった、便利屋の仕事。
そんな仕事をしているうちに、どうもおかしな状況へと向かうのは、その行天という男のせい?!
そうしているうちに、じつに変人であった男の存在が、じつに面白いと感じてしまう多田と、私たち読者。
やがて、多田が追っている影、みたいなものも見えてくるようになる。
うむむ。
便利屋っていう商売も面白いかも。
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2010.10.23:あら
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