なあまずノート

▼『神去なあなあ日常』

『神去(かむさり)なあなあ日常』  三浦しをん 著   徳間書店

久しぶりに小説を読んだ。

高校を卒業したばかりの横浜の少年が、いきなり三重県のものすごい山の中に行くことになり、そこで未知の林業をしながら生活する様子を、その少年 勇気が日記の形で語るお話し。

主人公の言葉どおり、「ありえねぇ」ということが幾つも幾つも重なっていく。
それが、ありえないわけではなく、神去村の最も奥地の神去地区では「なあなあ」という感じで普通にあり得る話しになる。

「なあなあ」っていう言葉は、なんだろう・・・。
このへんの言葉で言うと、「まずますまず」とか「いい塩梅だなぁ」とかでしょうかね。
「気もまねで」とか「ししょね」とかっていう意味までも含むでしょうか。


高校を卒業間際になって、進路がなかなか決まらず、その挙句に神去村に行くまでのくだりも、既に「ありえね」のでありますけど、このありえねことがテンポよく続けていっぱい出てくるので、むしろこれを楽しんでいるんじゃないかという感じすらする。

その一方で、林業というか山仕事に関わることの表現がけっこう細かいこと。
田舎の山村生活の日常的な慣れ合いぶり、不条理といえるほどの伝統的地域の神様や儀礼や信仰への態度。
こうしたことがリアルに感じられて面白い。

そして、クライマックスの村の一番のお祭りが48年に一度の大祭という節目の大行事で、まさにジェットコースターに乗ったような興奮を経験し、日記は、一年を村で経過して途中経過報告のような形で終わる。

もう少し読みたい、というところで終えている。

[画像]
この本には、派手な腰巻が付いている。
宮崎駿さんのコメントがある。
「これは映画になる」と感じ、「アニメかな?!実写かな?!」というものだ。

私も映画で見てみたいような気分になってきた。


画像 ( )
2010.07.28:あら

HOME

(C)

powered by samidare