なあまずノート
▼上京B
さて、今回の大きな目的の一つは、蒲田に住む伯母の家を訪問することにあった。
大学生時代、3年間アパート住まいをしていた、その大家さんでもある。
若いころ結婚して東京へ引っ越した伯母は、蒲田に居を構え、下宿屋をしていた。
夏休みになると、従兄弟が学生の下宿人と米沢に遊びに来るなんてこともあったものだ。
私が学生の頃は、下宿ではなく、部屋を貸すアパートに代わっていた。
私が大学生になって、ただ親族の家に間借りする、ということだったら、行かなかっただろう。
当時社会人と学生の住人が住むアパートだったから住まわせてもらうことにしたのだった。
この伯母さん、なにしろ向こう意気が強くて気風がよいというか…。
長年、下宿人やアパートの住人に慕われる明るさのある人である。
何かあると、従兄弟などとしょっちゅうお酒を飲んでいたものだ。
私が卒業してしばらくして、もう二人の最後のアパートの住人が引っ越して、アパートは廃業した。
その代わり、息子一家が引っ越してきた。
そして、叔父さんが亡くなった。
年齢など気にしたことがなかったのだけれど、もう、81歳になったとのこと。
さすがに、足が弱くなり、米沢に帰って来ることがなかなか難しい。
こちらが忙しくなったこともあり、結婚してから一度も会えずにいたのだ。
それが、とても気がかりでいたのだ。
午後9時半すぎ、予定よりだいぶ遅れて蒲田の家に到着。
近所や周囲の家は、ほとんど全て建て替えられていて、様子がすっかり変わってしまっていた。
その、伯母の家一軒だけが、まるで昔のまま建っていて、細い小路には植物があいかわらず植えこんである。
ここだけは、26年の時が止まっているかのように感じた。
安心した。
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2010.07.04:あら
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