多田耕太郎BLOG

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集安の国境大橋から2km程上流に集落があり、その集落のはずれの堤防沿いの道に、小屋掛けして双眼鏡を据え付け、北朝鮮見学所というようなところが三カ所ありました。それぞれに小さな店があって、北朝鮮の切手や貨幣、金日成や金正日の写真集を売っていました。眺めると、川幅100m先の対岸に北朝鮮の人たちが働いている姿が肉眼でも見ることができました。この写真の下流では四五人の子供達が素裸で水浴びをしているのも見えましたし、制服制帽の女性兵士が何人かの村人を従えて歩く姿なども見えました。
この集安でガイドをしてくれたタクシー運転手の劉さんが、「奴らの生活レベルは酷いものですよ、見てご覧なさい、まったく貧しそうでしょう。」と話しながら、目の前にいる、「違う国の人たち」との違いを強調するのに違和感を覚えたりもしました。私が中国と他の国の国境を見学したのはこれで六回目ですが、以前訪れたロシアやモンゴルとの国境や、同じ北朝鮮との国境の町、図門市とも違いました。それは、生々しく国境の先の生活ぶりが見え、しかも大声を出せば聞こえるような距離のお互いが、まったく交流できない現実を目の当たりにしているからです。
見学所の店番をしているおばあさんに、「いわゆる、脱北者という人たちはこの川を渡ってくるのですか?」と聞いたところ、「川の水かさが低くなると胸のあたりまでの水位になり、その頃になると特に若い女性がこちら側に来るよ。」と話してくれました。
今回の旅行の通訳をしてくれたハンナ先生も、驚いたような顔をしていたのが印象的でした。
やはり、8月5日のことです。
2010.09.03:多田耕太郎:count(2,180):[メモ/中国 東北地方旅行記2010]
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