多田耕太郎BLOG

▼中国 東北地方旅行記その17(寧安市鏡泊郷から長春空港へ)

11日、香賓旅店の前でハンナ先生を見送った後、香賓旅店の食堂に入ると、食堂には15人程が宴会をしていました。その中に日本から里帰りしている親子がいて、話を聞いてみると愛媛県に住んでいるのだそうです。
両親と息子さん二人と七年振りの里帰りで、もう亡くなったのだけれども、この父親の親が、いわゆる残留孤児で、家族全員が日本に帰ってから13年になるのだそうです。
この鏡泊の周辺には残留孤児や残留婦人がたくさんいた、という話しは前回訪れたときも聞いてはいました。この鏡泊周辺の日本人入植者は、昨年私が訪れた、方正県や依蘭県方面のようにまとまった開拓団という形での入植者とは違うようで、それぞれの地区に漁民としてだったり、小さい単位で本来の民間開拓者として入植したようです。地理的な要因で終戦後も移動がままならず、残留しなくてはならなかった人が多かった、のではないかと、私は思います。
なだらかな起伏と肥沃な大地の中で、すべてを賭けて生きていた人達のことを思うと、壇一雄の小説、「夕日と拳銃」の中で、最後に開拓地に骨をうずめる覚悟を決める逸見六郎の心理が重なるようにも思われます。
香賓旅店で、宴会の中に招かれてビールを少しご馳走になった後、二階にある客室に入り、帰国のための準備をして早めに眠りました。
翌、12日は、朝3時に起きて、4時前に黄君とお母さんが餃子を持って来てくれたのを食べて朝食にしました。4時丁度には曽さんが迎えに来て、旅店前で、黄君のお兄さん、お母さん、旅店の女主人の香さんと握手を交わし別れの挨拶をしました。
写真は、鏡泊を出て敦化へ向かう車窓から見た延々と続く畑です。
鏡泊から敦化を通り長春まで450q、途中休みなしで高速道路を走り、9時前に空港に着きました。
曽さんとまた再会する約束をして別れ、フライトは12時なので、黄君と二人、出発ロビーでひとを眺めて過ごしました。
8月12日最終日です。
画像 ( )
2010.09.18:多田耕太郎

HOME

(C)

powered by samidare