多田耕太郎BLOG

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多田農園のすべての箱に印刷されているさくらんぼは、この絵を原画にしています。親バカと言われるかも知れませんが、さくらんぼの栽培、販売を始めてからこの十四年の間に、たくさんのさくらんぼを描いた絵をいただいたりしましたが、この娘のさやかが描いた紅秀峰が一番気に入っています。モデルになったさくらんぼは二週間程、冷蔵保存されたものですが、その質感もよく描かれていると思います。
家族で話をしているとき、紅秀峰のしっかりとした肉質までも感じられると言ったら、息子が「父ちゃんはどこまでも、さやかに甘いね。」と言われたのを思い出します。
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もう、何日もしないうちに本格的な収穫になりますが、昼と言わず夜と言わず、肥大によって起こる僅かな実割れの心配をしています。
水分管理は私の手の届く範囲ですが、それ以外の日射量や温度は多少の加減は出来ても大きく変動するのを祈るような気持ちで見守る以外ありません。
葉詰みを行なうのを極限まで我慢し一気に肥大するのを待つのです。なおかつ着色もまんべんなく廻るようにしようとすることは葉摘みのタイミングの見極めが一番のポイントになります。
本当にいいものをつくるということは、自然を相手にする以上、大きなリスクを抱えていることではないか、そのリスクをしのぐすべや思い切りよく決断できる気持ちを持つことではないかと、最近思うようになりました。
こんなことを考えながら、さくらんぼを作っている者として、私の自信作のさくらんぼがあと十日後位に、たくさんの方々の口に入り、一瞬の味わいを残すことになるのでしょうが、その時、僅かでも作り手の想いや、育った環境を感じていただければいいのですが。
昨日よりは今日、今日よりは明日と、膨らみと艶を増しているのがよくわかります。
早朝に水分を補充し、日中に光合成で糖度を高め、なおかつ朱色から鮮紅色に染まりながら膨らんでいく一粒一粒が、並んでいます。
中央の白い筒状の下部にマイクロスプリンクラーの回転子が付いており、半径3.5メートルの範囲に細かい水滴を飛ばします。自然な降雨に近い灌水が行え、地面と枝の間を飛ぶので葉や実を濡らさずに水やりが出来るすぐれものです。私のすべての園地に総数で六百個が付いており、同時に総ての面積に灌水が可能なのはもちろん、一列ごとの部分灌水や液肥をを混入して灌水することも出来ます。私は果樹、とくにさくらんぼ栽培には必要不可欠な設備だと思っています。
少し肌寒い雨の朝、事務所前のテラスから、淡いピンク色の柔らかなスモークツリーの花を眺めながら飲むコーヒーは格別です。
八年程前に、大連に行ったとき、ホテルの前庭に、大木の合歓木があり、やはり今朝と同じようにコーヒーを飲みながら眺めたのを思い出しました。
雰囲気は似ていますが、葉の形なども合歓木よりは落ち着いていて、癒されるみたいです。
あと、十日程で鮮やかな朱に染まり、特選品になる佐藤錦です。
この時期は先端にわずかな亀裂を生じやすいので、朝方の見回りは欠かせません。土壌の水分管理や、送風ファンでの結露防止につとめなければならないからです。
今日は、雨が降り湿度が高くなるので、もっとも危険な朝です。
この箱の中にさくらんぼが入っているのですが、私にとっては不出来かもしれないけれど、可愛いたくさん思い入れのある子供たちが入っている。そんな想いになります。お客様がこの箱を開けたときに、少しはこの子達を愛でてほしいとも思います。
今日(6月12日)さくらんぼ狩りに二十人が来園くださいました。紅さやかの味わいはそれぞれのお客さまにより感想が違いました。共通しているのは、それなりの美味しさがあるというところのようです。
佐藤錦が食べられなくて残念という声もありました。来年は是非とも一番、佐藤錦のおいしい季節においでください。
佐藤錦は、直接太陽光にあたらないとなかなか着色しない品種なので、照り返しを利用するために反射シートを敷きます。これまで、全面に敷いたり、一部のみに敷いたり、といろいろ試行錯誤を繰り返して来ましたが、いまやっている程度と時期が最良のようだと思っています。ほかの農家に比べると、二、三日早く敷いています。好天があと四日位続いてくれれば、遅れをだいぶ取り返せるのですが…。
日曜日から沖縄三越で産地直送のフェアを行うので、予定より3日遅れで収穫発送する準備をしています。明日は朝、四時半から三人で収穫します。今夜は「紅さやか」とのお別れ会をひとり赤ワインを飲み、シャンソンの(サクランボの実る頃)を聴いてみようと思っています。
紅さやかの中でも早い樹は食べ頃になりました。この品種は完熟すると濃紅色になり、酸味もなくなるのですが、アメリカンチェリーのような色あいになるので鮮紅色で酸味が強い間に収穫出荷されます。極ワセの味わいです。私の娘の名前が「さやか」なので、多田さんが品種名を付けたのですか?などとおっしゃられるお客さまもいます。ちなみに、紅さやかは山形県の登録品種です。
紅さやかは、だいぶ色付いてきました。佐藤錦はこれから一週間ぐらいで黄変して膨らみます。私はこれから急激に膨らみらみ始める、着色前のさくらんぼを眺めるのが一番好きです。
色づきはじめて、充分に膨らんでから、実が葉陰に隠れているところの無駄な葉を切り落としています。なかなか簡単なようで気を遣う作業です。葉をとりすぎると着色が不完全になり、糖度も上がりません。当然のことながら葉を残しすぎれば実に光があたらず、これもまたとりすぎと同じことになります。とりあえず「紅さやか」からはじめたところです。
毎年、サクランボの時期に合わせて見頃になるスモークツリーが、農園の入り口ドアの左手にあります。
初めて訪れた方は、不思議そうに眺め上げて、これはなんという木ですか?と聞きます。あと1週間ほどで、樹全体が柔らかな綿毛の花で覆われます。
黄君が乗って仕事をしている、十五馬力の乗用草刈機の、メーカーで付けた名称が「草刈マサオ」です。名前も面白いのですが、乗って仕事をするのもアルバイトに来ている人たちの憧れの的のようです。
私も時々乗って仕事をしますが、子供時代に、ゴーカートに乗ったような気分になります。