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ISO9001(2015年版)やさしい規格解釈(建設業)
※製造業、販売業、サービス業向けもございます。

4.組 織

4.1 組織及びその状況の理解
組織の目的や経営戦略、外部及び内部の課題を明確にして品質マネジメントシステム(以下、品質活動の仕組みという)を構築し、運用すること。
これら外部及び内部の課題に関する情報を監視し、見直しすること。

注記 1:課題とは、好ましい要因や状況、好ましくない要因や状況をいう。
注記 2:外部の課題とは、国際、国内、地域の法令、技術動向、競争環境、市場動向、文化、社会及び経済の環境から生じる課題などをいう。
注記 3:内部の課題とは、企業の理念、価値観、社風、信用、ノウハウ、業績結果などをいう。

4.2 利害関係者のニーズ゙及び期待の理解

顧客要求事項、法令・規制要求事項を満たす施工物及びサービスを一貫して提供するために、組織に与える潜在的、顕在的な影響を考慮し、組織は次の事項を決定すること。
a) 品質活動に関連する利害関係者
b) その利害関係者の、品質活動に対する要求事項
これらの利害関係者及びその関連する要求事項に関する情報を監視し、見直しすること。

4.3 品質活動の適用範囲の決定

品質活動の適用範囲を決めるとき、その境界及び適用可能性を決定すること。
この適用範囲を決定するとき、組織は、次の事項を考慮すること。
a) 4.1に規定する、内部および外部の課題
b) 4.2に規定する、関連する利害関係者の要求事項
c) 施工物及びサービスの内容
組織は、この規格の要求事項を可能な限り適用すること。
品質活動の適用範囲は、文書にして利用可能な状態で維持すること。
この規格の要求事項を適用できないときは、その正当性を示すこと。
その場合、それが施工物及びサービスを提供する能力や責任に影響を及ぼさないこと。
 
4.4 品質活動及び仕事

4.4.1 この規格の要求事項に従って、必要なプロセス(以下、仕事または仕事の単位という)及びそれらの相互作用を含む、品質活動の仕組みを確立し、実施し、継続的に改善すること。
品質活動に必要な仕事内容及びその全体の流れを整備し、次の事項を明確にすること。
a) これらの仕事に対して必要な情報、及び期待される結果
b) 仕事の順序及び相互関係
c) 仕事内容及び管理の効果を実証するために必要な監視及び測定、関連する評価指標、判断基準及び方法
d) 必要な資源を明確にし、これらが利用できることを確実にすること
e) 仕事に関する責任及び権限の割当
f) 6.1の要求事項に従ったリスク及び機会。及び、これらへの適切な取組みを計画し、実施すること
g) 仕事の実施状況を監視、測定(該当する場合)、評価するための方法、及び計画した結果を達成するための業務手順の変更
h) 仕事内容や品質活動の改善を検討する時期や回数
4.4.2必要な程度、次の文書を維持すること。
a) 品質活動や仕事の運用を支援するための文書。
b) 品質活動や仕事が計画どおりに実施されたと確信するための文書。

5.リーダーシップ

5.1 リーダーシップと責務

5.1.1 経営者の責務
社長は、次に示す事項によって、品質活動に関するリーダーシップ及びコミットメント(果たさなければならない責任。以下責務という)を実証すること。
a) 品質活動の有効性に責任を負う。
b) 品質方針及び品質目標を確立し、それらが組織の戦略的な方向性及び組織の状況と両立することを確実にする。
c) 仕事内容と品質活動要求事項の整合性を図る。
d) プロセスアプローチ及びリスクに基づく考え方の利用を促進する。
e) 必要な資源が利用可能であること。
f) 要求事項を実行し、目的を達成することの重要性を伝達する。
g) 計画した結果を達成すること。
h) 必要な人々を雇用し、指揮し、支援する。
i) 改善を促進する。
j) その他の関連する管理層がリーダーシップを発揮できるよう、役割を支援する。

注記 この規格で“事業”という場合、それは、組織が公的組織か民間組織か、営利組織か非営利組織かを問わず、組織の存在の目的の中核となる活動という広義の意味で解釈することができる。


5.1.2 顧客重視
社長は、次の事項によって、顧客重視に関するリーダーシップと責務を果たすこと。
a) 顧客要求事項及び守るべき法令・規制を明確にし、理解し、一貫してそれが守られている。(8.2営業、8.5施工及びサービス提供)
b) 製品及びサービスの適合性、並びに顧客満足を向上させる能力に影響を与える可能性のあるリスク及び機会が明確にされ、対処されている。(6.1リスク及び機会)
c) 顧客満足の向上を重視することが維持されている。(9.1.2顧客満足)

5.2 品質方針

5.2.1 品質方針の確立
社長は、次の内容を含んだ品質方針を策定し、維持すること。
a) 組織の目的や置かれている状況に合致している。
b) 品質目標の設定及び見直しのための枠組み(方向性)を与える。
c) 要求事項を守ることを約束する。
d) 継続的改善を約束する。

5.2.2 品質方針の伝達
品質方針は、次に示す事項を満たすこと。
a) 文書にして利用できるようにする。
b) 組織内に伝達し、理解し、実行できるようにする。
c) 必要に応じて、関連する利害関係者が入手できるようにする。

5.3 組織の役割、責任及び権限

社長は、関連する役割に対して、責任及び権限を割当て、組織内に伝達し、理解されるようにすること。
社長は、次の事項に対して、責任及び権限を割り当てること。
a) 品質活動の仕組みが、ISO9001の規格に合っていることを確実にする
b) 仕事が、計画した結果をだすことを確実にする。
c) 品質活動の成果、改善の機会、変更、変革の必要性を社長及び幹部に報告する。
d) 組織全体にわたって、顧客重視を促進すること。
e) 品質活動の変更を計画し、実施する場合には、最初の計画と整合性があり、欠落がないようにすること。

6.計 画

6.1 リスク及び機会への取組み

6.1.1 リスク及び機会の決定
品質活動の計画を策定するとき、4.1に規定する課題及び4.2に規定する要求事項を考慮し、次の事項のために取り組む必要があるリスク及び機会を決定すること。
a) 品質活動が、計画した結果を達成できることを保証する。
 b) 望ましい影響を増大する。
c) 望ましくない影響を防止、または低減する。
d) 改善を達成する。

6.1.2 取組みの計画
次の事項を計画すること。
a) 上記によって決定したリスク及び機会への取組み
b) 次の事項を行う方法
 1) その取組みが品質活動に組み込まれ、実施される(4.4参照) 
 2) その取組みが有効であることの評価
リスク及び機会への取組みは、施工物及びサービスの適合への潜在的影響と釣り合いのとれたものであること。

注記1 リスクへの取組みの選択肢には、リスクを回避すること、ある機会の追求をするためにそのリスクをとること、リスク源を除去すること、起こりやすさまたは結果を変えること、リスクを共有すること、十分な情報を得たうえで意思決定によりリスクを保有することなど。
注記2 機会は、新たな慣行の採用、新製品の発売、新市場の開拓、新たな顧客への取り組み、パートナーシップの構築、新たな技術の使用、組織のニーズまたは顧客のニーズに取り組むための実行可能な内容など。

6.2品質目標及びそれを達成するための計画策定

6.2.1 品質目標
関連する部門、階層及び業務内容に応じて、品質目標を確立すること。
品質目標は、次の事項を満たすこと。
a) 品質方針と整合している。
b) 測定可能である。
c) 適用される要求事項を考慮に入れる。
d) 施工物及びサービスの適合、及び顧客満足の向上に関連している。
e) 監視する。
f) 伝達する。
g) 必要に応じて、更新する。
品質目標を文書にし、保持すること。

6.2.2 計画
品質目標を達成するために、次の内容を含んだ計画を決定すること。
a) 実施事項
b) 必要な資源
c) 責任者
d) 達成期限
e) 結果の評価方法

6.3 変更の計画

品質活動の変更が必要だと判断した場合(4.4 参照)、その変更は、計画的かつ体系的な方法で行うこと。
次の事項を考慮すること。
a) 変更の目的、及びそれによって起こり得る結果全て
b) 品質活動が最初の計画と整合性があり、欠落がないこと
c) 現在の人や施設設備で対応できるか
d) 責任及び権限の割当や再割当は必要ないか

7.支 援

7.1 資源

7.1.1 一般
品質活動の確立、実施、維持及び継続的改善に必要な資源を決定し、提供すること。
次の事項を考慮すること。
a) 内部に存在している資源の実現能力、及びその資源の限度。
b) 外部提供者(協力会社や仕入先、取引先など)から取得する必要があるもの

7.1.2 人々
顧客要求事項及び法令・規制要求事項を一貫して満たすことができることを確実にするために、組織は、品質活動の有効な運用のために必要な要員を提供すること。

7.1.3 施設、設備、資機材
施工物及びサービスの適合を達成するための仕事に必要な施設、設備、資機材などを決定し、提供し、維持すること。

注記 施設、設備、資機材には、次に示すものがある。
a) 建物及び関連する施設、備品など
b) 設備(ハードウェア及びソフトウェアを含む)
c) 輸送システム
d) 情報及び通信技術

7.1.4 仕事環境
仕事に必要な、また適切な施工物及びサービスを提供するために必要な環境を決定し、提供し、維持すること。

注記 必要な環境には、物理的、社会的、心理的、環境的要因及びその他の要因(例えば、気温、湿度、人間工学、清潔さ)などが考えられる。

7.1.5 測定機器
適切な施工物を構築するために必要な測定機器を使用する場合には、組織は、有効で信頼できる測定結果を確実に得るために次のような必要な処置をとること。
a) 実施される特定の種類の測定に対して適切である。
b) 継続的な目的に適合することを確実にする。
組織は、適切な測定機器を証明する文書を維持すること。
測定の履歴が法令に適用、顧客や利害関係者の期待となっている場合、測定結果の妥当性を証明するため、次のことを実施すること。
a) 定められた間隔又は使用前に、国際又は国家計量標準に対応する計量標準により校正又は検証を行う。そのような標準が存在しない場合には、校正又は検証に用いた基準を記録する。
b) 校正済みかそうでないか識別できるようにしておく。
c) 校正の状態及びそれ以降の測定結果を無効にするような操作、損傷又は劣化が起こらないよう保護する。
計画された妥当性確認、もしくは校正中、使用中に機器に欠陥があることが判明した場合には、それまでに測定した結果の妥当性に問題がないかどうかを明確にし、必要に応じて、適切な是正処置をとること。

7.1.6 組織の知識
仕事に必要で、適切な施工物及びサービスを提供するために必要な知識を決定すること。
この知識を維持し、必要な程度まで利用できる状態にすること。
変化するニーズ及び傾向に対処するとき、現在の知識を考慮し、必要な追加の知識を習得する方法、又はそれを検索する方法を決定すること。

注記 1 組織の知識には、知的財産及び学んだ教訓などの情報が含まれる。
注記 2 必要な知識を習得するために、組織は、次の事項を考慮することができる。
 a) 内部資源(例:失敗及び成功事例から学んだこと、組織内の各分野の専門家の文書になっていない知識及び経験など)
 b) 外部資源(例:規格・標準、学界、会議、顧客又は協力会社からの知識収集)

7.2 力量

次の事項を行うこと。
a) 品質に影響を与える業務をその管理下で行う人々に必要な力量を決定する。
b) 適切な教育、訓練又は経験に基づいて、それらの人々が力量を備えていることを確実にする。(協力会社を含む)
c) 該当する場合には、必ず、必要な力量を身につけるための処置をとり、その有効性を評価する。
d) 力量の証拠として、適切な文書を保持する。

注記 適用される処置には、例えば、現在雇用している人々に対する、教育訓練の提供、指導の実施、配置転換の実施などがあり、また、力量を備えた人々の雇用、そうした人々との契約締結などを含めることもできる。

7.3 認識

組織の管理下で働く人々(協力会社を含む)は、次の事項に関して主体的に認識を持つこと。
a) 自分たちが守らなければならない品質方針
b) 自分たちが達成しなければならない品質目標
c) 品質の向上によって得られる利益や仕事に対する自らの貢献(安定した品質、不良品率の減少、歩留まり向上、バラつきの減少、作業ミスや手戻りの減少など)
d) 決められた手順を守らない時の問題点とその意味(重大な事故、欠陥、社会的信用の失墜など)

7.4コミュニケーション

次の内容を含んだ品質活動に関連する内部及び外部のコミュニケーションの仕組みを決めて実行すること。
a) 内容
b) 実施時期
c) 対象者
d) 方法
e) 実施者

7.5 文書及び記録

7.5.1 一般
品質活動は、次の事項を含むこと。
a) この規格が要求する文書や記録
b) 品質活動の有効性のために必要であると組織が決定した文書や記録

注記 文書の程度は、次のような理由によって、それぞれの組織で異なる場合がある。
a) 組織の規模、施工物やサービスの種類
b) 仕事内容の複雑さ
c) 人々の力量

7.5.2 作成及び更新
文書や記録を作成及び更新する際に、次の事項を確実にすること。
a) 適切な識別及び記述(例えば、タイトル、日付、作成者、参照番号)
b) 適切な形式(例えば、言語、ソフトウェアの版、図表)及び媒体(例えば、紙、電子媒体)
c) 適切性や妥当性を考慮した適切な見直し及び承認

7.5.3 文書や記録の管理
 文書や記録は、次の事項を確実にするために、管理すること。
a) 文書や記録が、必要なときに、必要なところで、入手可能かつ利用に適した状態である。
b) 文書や記録が十分に保護されている(例えば、機密漏えい、不適切な使用、欠落からの保護)。

 文書や記録の管理に当たって、該当する場合には、必ず、次の行動に取り組むこと。
a) 配付、入手、検索及び利用
b) 読みやすさ、保管および保存
c) 変更の管理(例えば、版の管理)
d) 保持及び廃棄
品質活動の計画及び運用のために組織が必要と決定した外部からの文書や情報は、必要に応じて、特定し、管理すること。

注記 アクセスとは、文書や情報の閲覧だけの許可に関する決定、文書や記録の閲覧及び変更の許可及び権限に関する決定、などを意味する。

8.運 用

8.1 運用の計画及び管理

次に示す事項の実施によって、施工物及びサービス提供に関する要求事項を満たすため、さらに6.1で決定した取組みを実施するために必要な過程を、4.4で説明したとおり計画し、実施し、かつ管理すること。
a) 施工物及びサービスに関する要求事項を明確にする
b) 工程並びに施工物及びサービスの合否判定に関する基準の設定
c) 施工物及びサービスに必要な機材や人などの決定
d) その基準に従った、工程管理の実施
e) 施工物及びサービスの適合を証明するために必要な段階確認・検査、アフターメンテナスなどの記録
この計画は、組織の運営に適したものであること。
計画した変更を管理し、意図しない変更によって生じた結果を見直し、必要に応じて、有害な影響を軽減する処置をとること。
外注した業務が管理されていることを確実にすること。

8.2受 注

8.2.1 顧客とのコミュニケーション
次の事項に関して、顧客とのコミュニケーションを図るための手順を確立すること。
a) 施工物及びサービスに関する情報
b) 引合い、契約若しくは受注処理、又はそれらの変更
c) 苦情を含めた、顧客の考え方や受けとめ方の知得
d) 適用可能な場合には、顧客の所有物の取扱い又は処理
e) 該当する場合には、事故や災害が発生した際の連絡体制や対応手順

8.2.2 受注内容の明確化
顧客に提供する施工及びサービスに関する要求事項を明確にするとき、次の事項を確実にすること。
a) 受注内容、適用される法令・規制、当社からの提案事項など。
b) 会社が責任をもって施工及びサービスを実行する能力をもっていること。

8.2.3 受注内容の確認
顧客に提供する施工及びサービスに関する要求事項を満たす能力を持つことを確実にすること。
受注する前に、次の事項を含め確認を行うこと。
a) 顧客(発注者や元請)との約束(施工及び引渡し後のサービス(瑕疵責任、品質保証、定期点検など)の内容、及びそれらの変更。
b) 顧客との約束はないが当然しなければならないこと。
c) 自社で決めたこと
d) 施工物及びサービスに適用される法令・規制。
e) 契約内容の追加・変更。

これらは、顧客と契約する前に実施しなければならず、契約又は注文内容が変更される場合には、それが解決されていること。 
顧客が注文内容を口頭で伝えてきた場合にも、内容を確認し、何らかの形で記録に残すこと。

注記 インターネット販売などの状況では、注文ごとの正式な確認は実用的ではない。その代わりとして、カタログなどの品番や製品情報によって確認することも考えられる。
該当する場合、必ず、次の事項に関する文書を保持すること。
a) 確認の結果変更内容の記録。 
b) 施工及びサービスに関する新たな要求事項

8.2.4 受注内容の変更
契約や注文内容が変更されたときには、関連する文書(契約書、設計図書、施工計画書、施工図など)の変更を確実にすること。
また、変更内容を関連する人に確実に伝達し、理解されること。

8.3 設 計(または施工計画)

8.3.1 一般
設計施工で受注する場合には、設計の仕組みを確立し、実施し、維持すること。

8.3.2 設計の計画
設計の段階及び管理をする際に、次の事項を考慮すること。
a) 設計の内容、期間及び複雑さ
b) 要求される審査などのプロセス
c) 設計の検証及び妥当性確認
d) 設計の責任及び権限
e) 設計の社内、社外の資源の必要性
f) 設計に関与する個人及び関係者間のやりとりや管理の必要性
g) 設計への顧客及び関連する消費者や団体などの関与の必要性
h) 以降の施工及びサービスに関する要求事項
i) 顧客や密接する利害関係者が期待する設計手順の管理レベル
j) 設計の要求事項を満たしていることを実証するために必要な文書

8.3.3 設計のための情報
組織は、次の事項を決定すること。
a) 機能及び性能に関する情報や施工に不可欠な情報
b) 以前の類似の設計からの情報
c) 適用される法令・規制
d) 組織が実施することを約束している基準又は規範
e) 起こる可能性のある故障の影響
設計のための情報は、目的に対して適切で、漏れがなく、曖昧さのないものでなければならない。情報に相反するものがあるときは、これを解決すること。

8.3.4 設計の管理
次の事項を確実にするために設計の手順を管理すること。
a) 設計図書の内容(図面、仕様書など)を明確にする。
b) 設計審査を計画どおりに行う。
c) 設計図書が設計情報を満たしているために検証を行う。
d) 施工物が設計通りできているために妥当性確認を行う。
e) これらの活動について文書を保持する。

8.3.5 設計図書
設計図書は、次のような様式で提示されること。
a) 設計情報の入力に漏れがない。
b) 施工方法、資材の購入、専門業者の使用に対して必要な情報を含む。
c) 検査や段階確認の際の判定基準(寸法、材料の仕様、外観など)が決まっている。
d) 安全で適正な使用のために必要な事項が明確になっている。 
設計図書は保持すること。

8.3.6 設計の変更
設計の途中およびそれ以降に行われた変更内容を明確にし、施工に悪影響を与えない範囲で検証し、管理すること。
次の事項に関する文書を保持すること。
a) 変更内容
b) 検証の結果
c) 変更の許可を誰がしたか
d) 悪影響を防止するための処置

8.4 購 買

8.4.1 一般
資機材の購買・リースや施工を外注する場合、施工物が要求事項に適合することを確実にすること。
次の事項に該当する場合には、協力会社から提供される材料や機械、労務が要求事項に適合することを確実にすること。
a) 施工物のすべてが外注業者によって施工される場合。
b) 施工物が外注先から直接顧客に提供される場合。
c) 施工物の一部が外注される場合。
協力会社が要求される能力を持つように評価、選定、仕事内容の管理及び再評価に関する基準を定め、運用すること。
協力会社の評価、仕事内容の管理及び再評価の結果を文書にして保持すること。

8.4.2 協力会社の管理の方式と程度
顧客に一貫して適切な施工物を提供するために、協力会社から提供される材料、機械、技能などが悪影響を及ぼさないことを確実にすること。
a) 外注する仕事を自社の管理下に確実におく。
b) 協力会社の施工方法及び施工物の管理方法を決める。
c) 次の事項を考慮に入れる。
 1) 協力会社が、施工能力をもっているか、法令・規制を順守できるか、潜在的な影響まで含めて検討する
 2) 協力会社の施工力や管理力の有効性を評価する
d) 顧客に対して一貫して適合する施工物を引渡すため、協力会社から提供される材料、機械、労務、技術などの検証又はその他の活動(受入検査、段階確認・検査など)を定め、実施すること。

8.4.3 外部提供者に対する情報(発注)
 協力会社に伝達する前に、要求事項が妥当であることを確実にすること。
次の事項に関する要求事項を協力会社に伝達すること。
a) 工事の内容・範囲、工期・納期、金額等
b) 次の事項の承認
 1) 施工物
 2) 施工方法、使用材料、設備
 3) 段階確認及び引渡し
c) 作業員の力量
d) 自社の管理方法と相まってうまく管理しているか
e) 指定した納期・工期を守っているか、仕様・規格を満たしているか
f) 工場検査がある場合、その検証方法

8.5 施 工

8.5.1 施工管理
施工を計画し管理すること。
管理の内容は、次のうち該当するものは必ず実施すること。
a) 工事の内容を記載した情報を利用する。(設計図書、施工計画書、施工図など)
b) 必要に応じて作業手順を利用する。(施工標準、共通仕様書、作業手順書など)
c) 必要な段階確認や検査を実施する。
d) 適切な設備や機材を使用する。
e) 適切な測定機器を使用する。
f) 工事担当者、作業員などに必要な力量がある。
g) 施工物の段階確認、検査を実施する。
h) 工程管理、引渡し及び保守を契約どおりに実施する。

8.5.2 識別及び工事履歴
必要な場合には、資材の受け入れから、施工、引渡しまでの全工程において適切な手段で工程や施工物を識別すること。必要な工事記録を保持しておくこと。

8.5.3 顧客の所有物
顧客または協力会社、仕入先の所有物(以下、顧客の所有物という)は責任を持って管理すること。 
顧客の所有物の識別、受け入れ時の検証と保護を実施すること。   
顧客の所有物を紛失したり、損傷した場合には顧客に報告し、その内容を記録すること。

注記 顧客の所有物には、材料、部品、道具、設備、顧客の構内、知的財産、個人情報などを含む。

8.5.4 保存
資材の受け入れから施工物の施工、引渡しまでの間、必要な取扱い、保管、養生、保護を行うこと。

注記 この保存には、識別、取扱い、包装、保管、伝送又は輸送、及び保護を含む。

8.5.5 引渡し後の活動
該当する場合、引渡し後活動(アフターメンテナンスやクレーム対応など)は責任をもって実施すること。
 引渡し後の活動の内容を決定する際に、次の事項を考慮すること。
a) 関連法規、規制などへの対応
b) 発生する可能性のある不良、不具合、故障などの想定
c) 保証期間や修理対応期間
d) 顧客の要求
e) 顧客からの問い合わせや苦情への対応

注記 引渡し後の活動には、例えば、保証、メンテナンスサービスのような契約義務、及びリサイクル又は最終廃棄のような補助的サービスの下での活動を含む。

8.5.6 変更の管理
事故や想定外の出来事、顧客指示などによって、施工計画の変更が必要になった場合、必要な見直しや管理を行うこと。
変更の見直しの結果、変更を正式に許可した人、及び必要な処置の記録を保持すること。

8.6 段階確認・検査及び引渡し
 
施工物の適切さを検証するために段階確認や検査などを行うこと。段階確認及び検査は施工計画に従って、施工の適切な段階で実施すること。
施工計画で決めたことが問題なく完了するまでは、引渡しを行わないこと。ただし、引渡しの責任者が承認し、顧客が承認した時は、例外とすることがある。
段階確認・検査及び引渡しの記録を保持すること。これには次の事項を含むこと。
a) 合否判定基準への適合の証拠
b) 検査者の名前、引渡しを許可した人

8.7 不良品、不具合の管理

不適合(不良品や不具合)な材料を間違って使用したり、引渡しすることを防ぐため、それらを識別し、管理することを確実にすること。
不適合の性質、施工物及びサービスに与える影響の度合いに応じて、適切な是正処置をとらなければならない。これは、引渡し後に発生した瑕疵にも適用される。
該当する場合、組織は、次の一つ以上の方法で、不適合を処理すること。
a) 修正
b) 分別、散逸防止、返還又は廃棄
c) 顧客への通知
d) 特別採用による受入の正式な許可の取得
修正を施した場合には、適合を再検証すること。
次の事項を含んだ記録を保持すること。
a) 不適合の内容
b) とった処置
c) 取得した特別採用の内容
d) 不適合の処置に対する決定権者の特定

9.評価

9.1 監視、測定、分析及び評価

9.1.1 一般
次の事項を決定すること。
a) 必要とされる監視及び測定の対象
b) 妥当な結果を確実にするための、監視、測定、分析及び評価の方法
c) 監視及び測定の実施時期
d) 監視及び測定の結果の、分析及び評価の時期
上記内容の結果及び品質活動の有効性を評価すること。
 この結果の証拠として、記録を保持すること。

9.1.2 顧客満足
顧客のニーズ及び期待が満たされているか、顧客がどのように受けとめているかを監視すること。この情報の入手及び使用の方法を決定すること。

注記 顧客の考え方に関する情報には、顧客満足度調査又は意見調査、提供した施工物又はサービスの品質に関する顧客からのデータ、市場シェアの分析、顧客からの賛辞、顧客による検査の指摘事項、クレーム情報などがある。

9.1.3 分析及び評価
監視、測定及びその他の情報源からの適切なデータ及び情報を分析し、評価すること。
分析の結果は、次の事項を評価するために用いる。
a) 施工物及びサービスの品質向上。
b) 顧客満足の向上。
c) 品質活動の有効性向上。
d) 経営計画が順調に実施されていることを実証する。
e) リスク及び機会への取り組みの有効性
f) 協力会社を評価する。
g) 改善の必要、頻度、時期などを明確にする。

注記 データを分析する方法には、統計的手法が含まれる。

9.2 内部監査

9.2.1 目的
次の目的のために、あらかじめ定めた間隔で内部監査を実施すること。
a) 次の事項に適合している。
 1) 品質活動において、組織自体が決めたこと
 2) ISO9001の規格内容
b) 品質活動が有効に実施され、維持されている。

9.2.2 実施事項
次に示すことを行うこと。
a) 内部監査の頻度、方法、責任及び全体計画、監査内容の計画、実施、報告。
監査内容は、品質目標、仕事内容の重要性、顧客からの情報、組織に影響を及ぼす変更、及び前回までの監査の結果を考慮に入れること。
b) 各監査について、監査基準及び監査範囲を明確にする。
c) 監査の客観性及び公平性を確保するために、監査員を選定し、監査を実施する。
d) 監査の結果を関連する管理層に報告することを確実にする。
e) 遅滞なく、必要な修正を行い、是正処置をとる。
f) 監査の実施及び監査結果の記録を保持する。

注記 手引きとしてJIS Q 19011を参照。

9.3 経営者による見直し

9.3.1 一般
社長は、組織の品質活動が、引き続き、適切、妥当かつ有効であることを確実にするために、あらかじめ定めた間隔で、経営者による見直しを実施すること。
9.3.2検討事項
経営者による見直しは、次の事項を考慮して計画し、実施すること。
a) 前回決定事項の実施状況
b) 戦略や品質活動に関連する外部及び内部の課題の変化
c) 次に示す傾向及び指標を含めた情報
  1) 顧客満足及び密接な利害関係者からの情報
  2) 品質目標の達成度
  3) 品質活動の成果、施工及びサービスの適合性
  4) 不適合及び是正処置
  5) 監視及び測定の結果
  6) 内部監査、外部審査の結果
  7) 協力会社の評価
d) 資源の妥当性
e) リスク及び機会への取組みの有効性(6.1参照)
f) 改善の機会が適切かどうか

9.3.3 決定、指示事項
経営者による見直しでの決定、指示事項には、次の内容及び処置を含めること。
a) 継続的改善が実施されること
b) 品質活動のあらゆる変更の必要性(品質目標及び計画、組織体制、マニュアル、手順書など文書の内容など)。
c) 採用、人材育成、設備投資、環境整備など資源の必要性。
経営者による見直しの結果を記録し保持すること。

10 改善

10.1 一般

顧客要求事項を満たし、顧客満足を向上させるために、改善のために何を、いつ、どのように実施するかを決定し、必要な処置をとること。
 これには、次の事項を含めること。
a) 要求事項を満たすため、並びに将来のニーズや期待に取組むための、施工物及びサービス内容の改善
b) 望ましくない影響の修正、防止または低減
c) 品質活動の結果及び有効性の改善

注記  改善には、例えば、修正、是正処置、継続的改善、現状を打破する変更、革新及び組織再編などがある。

10.2 不適合及び是正処置

10.2.1 不適合(苦情、クレーム、検査の不合格、手戻り、工期遅れ、事故、仕事の仕組みの不具合など)が発生した場合、次の事項を行うこと。
a) その不適合に対処し、該当する場合には、必ず、次の事項を行う。
  1) その不適合を管理し、修正するための処置をとる。
  2) その不適合によって起こった結果に対処する。
b) その不適合が再発又は他のところで発生しないようにするため、次の事項によって、その不適合の原因を除去するための処置をとる必要性を評価する。
  1) その不適合を見直し、分析する。
  2) その不適合の原因を明確にする。
  3) 類似の不適合の有無、又はそれが発生する可能性を明確にする。
c) 必要な処置を実施する。
d) とった全ての是正処置の有効性を確認する。
e) 必要な場合には、計画の策定段階で決定したリスク及び機会を更新する。
f) 必要な場合には、品質活動そのものの変更を行う。
 是正処置は、検出された不適合のもつ影響に応じたものであること。

注記1 場合によって、不適合の原因を除去するのが不可能なことがある。
注記2 是正処置は、再発の可能性を許容できる基準まで軽減することができる。

10.2.2 次に示す事項の証拠として、記録を保持すること。
a) 不適合の性質及びとった処置
b) 是正処置の結果

10.3 継続的改善

品質活動の適切性、妥当性及び有効性を継続的に改善すること。
継続的改善の一環として取り組まなければならない必要性又は機会があるかどうかを明確にするために、分析及び評価の結果並びに「9.3経営者による見直し」の決定内容を検討すること。
                                 以上
                                 
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※規格の翻訳文では、〜しなければならない。〜ねばならない。となっているが、この解釈では、〜すること。というように柔らかい表現としました。

 英語の本文と多少の違いがあっても、それが計画され実行されていれば問題ないので、業界や自社の言葉に置き換えた「業務マニュアル」を作成することが大切だと考えます。

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