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ものごとの本質を極める

 私達は一つのことを極めることによって初めて、真理やものごとの本質を会得することができます。

 極めるということは、一つのことに精魂込めて打ち込み、その核心となる何かをつかむことです。一つのことを極めた体験は、そのほかのあらゆることに通じます。

 一見してどんなにつまらないと思うようなことであっても、与えられた仕事を天職と思い、全身全霊を傾けることです。それに打ち込んで努力を続ければ、必ず真理が見えてきます。

 一旦物事の真理がわかるようになると、何に対しても、またどのような境遇に置かれようと自分の力を自由自在に発揮できるようになるのです。


仕事を好きになる

 仕事をやり遂げるためには大変なエネルギーが必要です。そしてそのエネルギーは自分自身を励まし、燃え上がらせることで起こってくるのです。

 そこで、自分が燃える一番良い方法は仕事を好きになるということです。どんな仕事であってもそれに全力を打ち込んでやり遂げれば大きな達成感と自信が生まれ、また次の目標に挑戦する意欲が生まれてきます。

 その繰り返しの中で、更に仕事が好きになります。そうなればどんな努力も苦にならなくなります。こうした心境にまで高まって初めて、本当に素晴らしい仕事を成し遂げることができるのです。



自ら燃える

 ものには、他からエネルギーを受けて燃えるものと、それでも燃えないものと、そして自分自身で燃えるものとがあります。

 つまり、火を近づけると燃え上がる可燃性のもの、火を近づけても燃えない不燃性のもの、自分で勝手に燃え上がる自燃性のものと、物質は三つに分かれるのではないかと思います。

 人間も同様です。ものごとを成そうとするには、自ら燃える者でなければなりません。それは、熱意、情熱が、ものごとを成就していく基本となるからです。

 火を近づけても、エネルギーを与えても燃えない者、つまり多少能力はあったとしても、ニヒルで、少しの感受性も持たず、感動することができない人は、ものごとを成し遂げられない人です。せめて、燃えている者の周囲にいるときには、一緒に燃え上がってくれる人であってほしいと思います。

 しかし、我々にとって本当に必要な人は、自ら燃え上がる人です。さらに言うならば、自ら燃え上がり、そしてあり余ったエネルギーを他にも与えることのできる人こそが集団にとって必要なのです。


地味な努力を積み重ねる

 大きな夢や願望を持つことは大切なことです。しかし、大きな目標を掲げても日々の仕事の中では一見地味で単純と思われるようなことをしなければならないものです。

 したがって、時には自分の夢と現実の間には大きな隔たりがあると感じて思い悩むことがあるかもしれません。

 しかし、どのような分野であっても素晴らしい成果を生み出すまでには、改善・改良の取組み、基礎的な実験やデータの収集、足を使った受注活動などの地味な努力の繰り返しがあるのです。

 偉大なことは最初からできるのではなく、地味な努力の一歩一歩の積み重ねがあって初めてできることを忘れてはなりません。


真面目に一生懸命仕事に打ち込む

 一生懸命に働くということは勤勉であるということであり、仕事に対する態度が常に誠実であるということです。

 私たちが本当に心から味わえる喜びというのは、仕事の中にこそあるものです。仕事をおろそかにして、遊びや趣味の世界で喜びを見出そうとしても、一時的には楽しいかもしれませんが、決して真の喜びを得ることはできません。

 人の一生の中で、最も大きなウエイトを占める仕事において充実感が得られなければ、結局は物足りなさを感ずることになるはずです。真面目に一生懸命仕事に打ち込み、何かを成し遂げた時にこそ、他には代えがたい喜びが得られるはずです。


完全主義を貫く

 よく90%上手くいくとこれでいいだろうと妥協してしまう人がいます。しかし、そのような人には完璧な製品、いわゆる手の切れるような製品づくりは到底できません。

 間違ったら消しゴムで消せばよいという安易な考えが根底にある限り本当の意味で自分も周囲も満足のいく成果を得ることはできません。

 営業にしろ製造にしろ、最後の1%の努力を怠ったがために受注を失ったり、不良を出したりすることがあります。自分自身の努力をさらに実りあるものとするためにも、仕事では常にパーフェクトを求めなければなりません。