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一日一日をど真剣に生きる

 人生はドラマであり、一人一人が主人公です。

 大切なことはどういうドラマの脚本を書くかです。運命のままにもてあそばれていく人生もあるかもしれませんが、自分の心、精神というものをつくっていくことによって、また変えていくことによって思い通りに描いた脚本で、思い通りの主人公を演じることもできるのです。

 人生というのは自分の描き方ひとつです。ボケっとして生きた人と、ど真剣に生きた人とでは脚本の内容はまるで違ってきます。

 自分というものを大事にし、一日一日、一瞬一瞬をど真剣に生きていくことによって、人生はガラッと変わっていくのです。

人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力

 人生や仕事の結果は、考え方と熱意と能力の三つの要素の掛け算で決まります。

 このうち、能力と熱意はそれぞれ0点から100点まであり、これが掛け算でかかるので能力を鼻にかけ努力を怠った人よりは、自分には普通の能力しかないと思って誰よりも努力をした人の方がはるかに素晴らしい結果を残すことができます。

 これに考え方がかかります。考え方とは生きる姿勢であり、これは−100点から+100点まであります。考え方次第で人生や仕事の結果は180度変わってくるのです。

 そこで、能力や熱意と共に人間としての正しい考え方を持つことが何よりも大切になるのです。

 成功するかしないかは、その人の持っている熱意と執念に強くかかわっています。

 何をやっても成功しない人には熱意と執念が欠けているのです。体裁のいい理由をつけ、自分を慰め、すぐあきらめてしまうのです。

 何かを成し遂げたいときには、狩猟民族が獲物を捕らえる時のような手法をとることです。

 つまり、獲物の足跡を見つけると槍一本持って何日も何日も追い続け、どんなに風雨が吹こうと強敵が現れようとその住処を見つけ、捕まえるまでは決してあきらめないというようなやり方です。

 成功するには目標達成に向かって粘って粘って最後までやり抜くということが必要です。

見えてくるまで考え抜く
 
 私たちが仕事をしていく上では、その結果が見えてくるという心理状態にまで達していなければなりません。

 最初は夢や願望であったものが、真剣にこうして、ああしてと何度も何度も頭の中でシミュレーションを繰り返していると、ついには夢と現実の境がなくなり、まだやってもいないことまでもがあたかもやれるように感じられ、次第にやれるという自信が生まれてきます。

 これが「見える」という状態です。こうして見える状態になるまで深く考え抜いていかなければ前例のない仕事や創造的な仕事、いくつもの壁が立ちはだかっているような困難な仕事をやり遂げることはできません。

自らの道は自ら切りひらく

 たとえ今、会社の業績が素晴らしいものであったにしても、現在の姿は過去の努力の結果であって、将来がどうなるか誰にも予測できないのです。

 将来にわたって素晴らしい会社にしていくためには、私たち一人一人がそれぞれの持ち場、立場で果たすべき役割を精一杯やり遂げていくしかありません。

 誰かやってくれるだろうという考え方で人に頼ったり、人にしてもらうことを期待するのではなく、まず自分自身の果たすべき役割を認識し、自ら努力してやり遂げるという姿勢を持たなければなりません。

有言実行でことにあたる

 世の中ではよく不言実行が美徳とされますが、京セラでは有言実行を大切にしています。

 まず自らが手を上げてこれは自分がやりますと名乗りを上げ、自分が中心となってやることを周囲に宣言してしまうのです。
 
 そう宣言することで周りと自分の両方からプレッシャーをかけ自分自身を奮い立たせるとともに、自らを追い込んでいくことによって目標の達成がより確実となるのです。

 朝礼やミーティングなどあらゆる機会をとらえて進んで自分の考えを明らかにすることにより、その言葉で自らを励ますとともに、実行のエネルギーとするのです。