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倹約を旨とする

 私たちは余裕ができるとついついこれくらいはいいだろうとか、何もここまでケチケチしなくてもというように経費に対する感覚が甘くなりがちです。

 そうなると各部署でムダな経費が膨らみ会社全体では大きく利益を損なうことになります。

 そして、ひとたびこのような甘い感覚が身についてしまうと状況が厳しくなった時に改めて経費を締め直そうとしても、なかなか元に戻すことはできません。ですから、私たちはどのような状態であれ、倹約を心掛けなければなりません。

 出ていく経費を最小限に抑えることは私たちにできる最も身近な経営参加であるといえます。

目標を周知徹底する

 目標を達成するためには、その目標が全員に周知徹底されていなければなりません。つまり、全員が目標を共有化し、自分たちのものになっていることが必要です。

 営業部門でも製造部門でも当月の売上や総生産、差し引き売上、時間当たりなどの数字が全員の頭の中にしっかりと入っていて、職場の誰に聞いても即座にその数値が口をついて出てこなければなりません。

 京セラのアメーバ経営と時間当たり採算制度では目標を全員に周知徹底し、共有化を図ることによって一人一人の参画意識を高められ、これが一丸となって目標達成へ向かうエネルギーとなるのです。


能力を未来進行形でとらえる

 新たな目標を立てるときは、あえて自分の能力以上のものを設定しなければなりません。

 今はとてもできそうもないと思われる高い目標を未来の一点で達成するということを決めてしまうのです。

 そして、その一点にターゲットを合わせ、現在の自分の能力をその目標に対応できるようになるまで高める方法を考えるのです。

 現在の能力をもってできるできないをいうことは誰でもすることです。しかし、それでは新しいことやより高い目標を達成することなどできるはずがありません。
 
 今できないものを、何としてでも成し遂げようとすることからしか、高い目標を達成することはできないのです。


健全資産の原則を貫く

 京セラでは不良資産を発生させることを厳しく戒めています。必要なときにいつ様なだけ買い入れること、必要なものだけを創ることが原則です。

 余分なものを買ったり、余分なものをつくったりすると不良在庫を発生させ、ムダな経費を使うことになります。

 しかし、万が一不良資産が発生した場合には、直ちにこれを処理することです。一時的には損失を出すことになりますが、目先の数字にとらわれず勇気をもって不良資産を処理しなければなりません。

 これをせずに問題を先送りするとさらに大きな損失につながります。経営は常に健全な資産状態で行われる必要があるのです。

日々採算をつくる

 経営というものは、月末に出てくる採算表を見て行うのではありません。

 細かい数字の集積であり、毎日の売り上げや経費の積み上げで月次の採算表がつくられるのですから、日々、採算をつくっているのだという意識をもって経営に当たらなければなりません。

 毎日の数字を見ないで、経営を行うのは計器を見ないで飛行機を操縦することと同じです。これでは飛行機はどこへ飛んでいき、どこへ着陸するのかわからなくなってしまいます。

 同様に日々の経営から目を離したら、目標には決して到達できません。採算表には一人一人の毎日の生き様が累積した結果だということを忘れてはなりません。


売上を極大に、経費を極小に(入るを量って、出ずるを制する)

 経営とは非常にシンプルなもので、いかにして売上を大きくし、いかにして使う経費を小さくするかということに尽きます。

 利益とはその差であって結果として出てくるものにすぎません。したがって私たちは、いつも売上をより大きくすること、また、経費をより小さくすることを考えていればよいのです。

 ですから、原材料費は総生産高の何%でなければならないとか、販促費はこれくらい必要だろうといった常識や固定概念にとらわれてはなりません。

 売上極大、経費極小のための努力を日々創意工夫しながら粘り強く続けていくことが大切なのです。