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▼「明るく元気に」病

Sさんの幼稚園時代の思い出。
Sさんは幼稚園で、すばらしい絵本をみつけた。
しかし、それは隣の教室にあり、なかなか読む機会がつかめずにいた。
ある台風の日、チャンス到来。
登園する子がすくなく、となりの教室に入り、目的の絵本を夢中で読み始めた。
ところが、そこに先生の大きい声が聞こえて来た。
「みんな、せっかく来たのだから、明るく元気に一緒に遊びましょう!」
「Sちゃんも、そんなに怖い顔で一人で絵本など読んでいないで、みんなと一緒に明るく元気に遊びましょう」と誘われる。
Sちゃんは「ぼくはこの本が読みたい」とは言えない。
悲しい思いをしながら、手をつないで歌を歌ったりした。
この時の残念さは、大人になっても忘れることはできない、というのである。
先生も親も、どうして子供はいつも「明るく元気に」していなくてはならない、と思うのだろう。
日本人の「みんな、一緒に」というのも病気に近いのではなかろうか。
今度は、老人ホームで「みんなで明るく元気に」歌ったり踊ったりさせられる日も近いのでは、などと考えていた。
(こころの止まり木より)

2006.09.23:反田快舟

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