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▼血のつながる経営を!

 島崎藤村は、故郷を「血につながるふるさと」「心につながるふるさと」「ことばにつながるふるさと」と謳い上げたが、故郷とは目に見えぬ糸で人をつなぎ合わせ、つなぎとめ、心の安らぎを感じさせるところだと思う。
 血につながり、心につながり、ことばにつながるとなると、それは家庭であり、ファミリーである。
 狭い意味でのファミリー経営ではなく、血のつながる仕事、心の通い合う取引き、意思疎通がうまくいく管理を「故郷経営」といいたい。
 血がつながっているからこそ、そこにはウソもケレンもない。親戚付き合いのできる取引先、親子のような労使関係も生まれるだろうし、心がつながっているから、やる仕事についてもデタラメではなく、愛情のこもったものになるだろう。
 ことばにつながるとなると、社内での全ての指示、命令、施策は相手が理解できるようにしなければならないし、外部に対しても話の分かるやり方をしていかねばならない。 ことばが通じ、話が分かるというのは、自分を相手の線までもっていくことが先決であるから、上司、同僚、部下、取引先、消費者と立場が異なる相手に対する基本的なあり方を示すことにもなろう。
 一方的なやり方ではダメで、通達、提示、書式、カタログ、セールス、仕入れ、内部管理も、ことばが通じるように改めていかねばならない。ことばで通じないなら、心で、血で訴えることもできる。聞き手が心で、血で、ことばで聞くというようにもっていくことを「対話」というのである。
”血のつながる仕事””心のつながる仕事””ことばのつながる仕事”ができれば、企業に少しでも縁のあった人々は、絶対にそれを忘れることはないであろう。
 魅力には、いろいろな解釈の仕方がある。物質面での魅力となると、その企業がもっている力には、それぞれ差があり、なかなか理想どおりいかないものである。
しかし、精神的な魅力、つまり、人を引きつけるたずなとなるものは、どこにでもあるのではないだろうか。それは誠実に裏打ちされた、「故郷経営」から生まれてくる。
2006.09.24:反田快舟

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