あゆーむホールの響き(担当者雑感)

  • あゆーむホールの響き(担当者雑感)
「響きがいい」という意味は?
 オープンして約半年、あゆーむホールを使った催しの中でもクラシック系の公演については、出演されたアーティスト、お客様から「響きが最高!」と賞賛の声をたくさんいただいております。
ただしオープン当初には、「しゃべっている声が聞き取りづらい」「映画のセリフがわかりづらい」などの声が寄せられていたのも事実です。
 実はあゆーむホールは、音響特性を室内楽などの演奏時に最適になるように設定しています。そのため、通常の多目的ホールよりは残響時間が長いホールなのです。
 残響とは室内の音を止めた時、後に残る響きをいいます。残響があると心地よく響きます。わかりやすい例で言うと、カラオケのエコー(リバーブ)とかお風呂場で歌うときとかのイメージです。
 いわゆる生音による音楽では豊かな残響を必要します。そういう意味では、あゆーむのホールは全国的に見ても、非常に優れた音響特性を持つホールといえると思います。
 反面、残響が多いとスピーチの明瞭度は損なわれます。温泉の大浴場などで会話をすると、よく聞き取りづらいといった経験をお持ちかと思います。あんな感じです。講演会とか映画などの催しの際には、逆に残響時間がないほうが聞き取りやすくなるのです。特に拡声装置(PA)などを使った場合は、スピーカーの配置などもその催しに合わせて工夫する必要が出てきます。
 一つのホールを音楽や講演会、また大音量を出すポピュラー音楽など多目的に使用しようとすると、当然残響時間はその催し物に応じて調整できることが必要になります。
 せっかくの響きのある音響設計を施したホールの特徴を活かしたまま、多目的に使う方法。もちろん意匠も損なわないように。使ってみてはじめてわかるこの課題について、オープン直後から設計に携わった本間設計さんと永田音響設計さんを交え、さまざまな検討を行ってきました。
 最小の投資で必要な効果を得るため、吸音カーテンをうまく組み合わせて使って、残響時間を調整する方法を選びました。
 当初からある客席後部の吸音カーテンに加えて、①照明のスクエアバトン上部 ②キャットウォーク壁面 ③ステージ美術バトン にそれぞれ設置できるように新たに吸音カーテンを購入しました。
 現在は、照明のスクエアバトンに吸音カーテンを設置した状態を通常モードとしております。クラシックコンサートでちょっとトークが入るという催しで試してみましたが、響きと明瞭さのバランスとして結構いい感じかな、と思っています。
 講演会などスピーチを中心とした催し物や電気音響設備を使用するポピュラー音楽の演奏などの際には、そのほかの吸音幕も設置してみるとなお効果が上がると思われます。
 カーテンの設置は、手作業になりますがいろいろ工夫しながらより良い使い方を考えてみたいと思っています。
 ちなみに、カーテンを全部設置したときの残響時間[500HZ]推定値は満席時1.0秒程度ですが、うしろのカーテンまで全部開けると、残響時間[500HZ]は空席時2.6秒、とのことです(笑)。
   
2010.02.24:siraayu09:[さむすぺ!]

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