獅子宿

獅子彫り四方山話
この獅子頭は、とある川西町の豪農のお宅の蔵が安置場所になっていて、明日蔵入りする前に特別にお願いして見せていただきました。一番古い獅子は赤い白鷹町で見られるような形で、明治後期に制作され、このお宅の近所に住む指物大工が手がけた獅子頭という。この写真の獅子頭が、次に作られた獅子で昭和30年代に制作され、おそらく長井の獅子彫師竹田吉四郎のものと思われます。最近の獅子は地元の大工さんで金子さんという方の作ということです。獅子頭も立派ですが獅子を安置する箱も立派で「舌切り雀」の話に出てくる欲深い婆ちゃが選んだ、お化けが入っているでっかいツヅラのようでした。
数年前、長井高校の庭の柳が風折れしたものをいただき制作しました。黒いので見えにくいのですが、木地の時は「豚ですか?猪ですか?」と失礼なご意見もあったんです。黒い馬の毛を植えて見ましたが、やはり黒い獅子の色には白の毛がいいようです。野性味はありますね。柳で薄く作っていますので軽く、獅子頭というより面というカテゴリーの分野に属したほうがいいかな。軸を噛んで固定もできます。以前から新しい創作の舞の構想があり、その手始めに作ってみました。熊に見えるかな?熊の動きを研究して舞いにしてみたいですね。
実際は全体的に腫れあがっていて、痒いこと痒いこと!原因は獅子頭の修理で削った細かい粉がくっついてアレルギー反応しているんです。二三週間苦しみが続きました。お風呂に入って洗面器にあつーーーいお湯を入れて、漆負けの手を入れるとジンジンして熱さがやがて痒みを和らげてくれることを発見しました。キンカンを塗ったり医者にも行きましたがすぐには治りませんでした。言い伝えでは沢蟹を潰して塗るといい、と聞きますがまだ実験は致しておりません。





 

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腕全体がぼつぼつの水泡がひろがって全身までひろがるような勢いです。指と指の間の水かきの部分が特に痒いんです。さらに、まぶたとか柔らかい部分に転移して痒くなります。見ただけでなんか痒くなりませんか?塗師(ぬし)は全然平気だそうで、以前漆に蜂蜜を増量したまがい物を確かめる為に指ですくって試しに舐めたそうで、ぴりっとする刺激があったそうです。口の中が漆負けしたら想像を絶することになるでしょうね。獅子頭もあんな凄いものを塗られちゃって痒くないんでしょうかね?痒いからあんな怖い顔してるのかな?





 
漆の工程が終了しました。漆が塗られ白い毛が植えられて木地の獅子の時よりひとまわりでっかく成長して戻ってきました。奥行き75cmもあるので本当に大きく見えます。見上げる様な赤い縁取りが効いたつぶらな瞳、豊かな頭髪や頬髭。耳がつーーんと尖って緊張感がありますね。頭髪で見えにくいけどギザギザ木葉の眉毛が独特です。ここの地区の神社の振り方は、あの獅子のなんとも愛くるしい表情からは想像できない勇壮な振り方です。さーて!できたての獅子頭は注意して触りましうね!漆は湿気と反応して硬化してますが、漆に過敏に反応する体質の方は、たまにちょっと触っただけでも漆まけを起こすからです。触ってから五分も経たないうちにぼつぼつ水泡が出てくることもありますので注意しましょうね。私は新しい獅子を持つたび漆負け反応が表れ、大変です。これに懲りて次回は手袋でも用意すればいいものを、忘れてまた見事に漆負けてしまいます。負けず嫌いの自分は、なんとか勝つ方法は無い物か頭をひねっています。
これは獅子宿の商品開発中の4cmほどのアルミ鋳物の獅子頭であります。ある染屋さんにある山形の鋳物工場を紹介していただき相談してみると10個ほどサンプルを作っていただきました。染屋さんの職人さんも偶然、月山湯殿山両所の宮神社でお神輿を担いでいらっしゃる方で鋳物工場の社長さんはそちらの頭だそうでびっくりいたしました。今年の8月1日にお祭りで女性だけのお神輿もはじめて渡行したということす。伝統文化にも女性がどんどん参加し活性化の重要な役割となりつつあるようです。
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