先月2月27日に勧進代總宮神社の新しい獅子頭を無事納品させていただいた。
新しい化粧廻しや太鼓の修理は、既に納品し、地区長さんや神社役員、獅子振りの方々も
肩の荷が下りて一安心という所だろう。窓口の長井市の担当職員の方々にも大変お世話に
なっている。
彫師としては漆塗りが一番の心配材料。どう仕上がるか、期限内に間に合うかが経験上、
胃の痛い所だった。塗師の江口漆工房さんにも大変なご苦労をおかけした。
化粧廻しの納品 見事な刺繍と力綱に新しく生まれ変わった小櫻の廻し
新しい獅子は文政元年に地元勧進代の遠藤森助の作と伝えられている。
この近辺では最上級の難易度の獅子頭である。この獅子を彫らずば獅子彫を全うできぬとば
かりの意気込みでの制作だった。その為に試作を制作して万全に備た訳である。
前にも記したがこの制作では、手本にする神社の獅子頭は一切、門外不出と定められ隣に置
いて獅子彫りすることは出来ないという条件だった。
前の獅子頭は勧進代の鈴木康之氏の作で同所の方にも貸し出さなかったという。この「掟」が
神社の伝統だとすれば明治25年ごろ制作された同所の長谷部吉之助の獅子も森助獅子を参考に
する事もなく制作されたと推測される。
写真やパソコンがある現代では、森助獅子の資料は容易に準備することが出来たが、とにかく
難しい獅子頭だった印象が残っている。
技術的にも勉強になった事は勿論、再び西高玉の一対の獅子頭を制作する縁を結びつけてくれた。
現在、一対の獅子の頭部を制作中である。
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