米沢市広幡一宮神社と富山県八尾町の獅子頭

  • 米沢市広幡一宮神社と富山県八尾町の獅子頭
米沢市広幡の一宮神社には三頭の獅子頭が所蔵され、一つは 江戸後期の源右衛門の作と
大仏師 桂八郎の作、そして最近神社の物置から発見された詳細不詳の古獅子が所蔵されて
いる。現在の宮司さんは前の方から詳しい獅子頭についての話は聞いていないという。




源右衛門の作 桂八郎の獅子と比べると大型である事が分かる  江戸後期



大仏師 桂八郎の作 幕末期



作者不明の獅子 獅子頭の様式から推測してかなり古い





源右衛門と桂八郎の獅子は例大祭で神輿の前で厄払いに用いられていた。

2016年ごろ発見された古獅子は、頭部のみで発見され神社所蔵だったものかどうかも不明で、顎は当工房で復元している。


顎を復元した古獅子

岡山県真庭市上河内 熊野神社に、これと様式が似た古い県指定重要文化財の獅子頭を見つけている。

岡山の獅子と米沢の獅子を比較すると古い獅子の特徴の頭部の高さが低く、特に幅の狭い眉毛が共通点で、耳も

同じ様に取り付けた耳ではなく彫り込んだものだ。



岡山県真庭市上河内の熊野神社所蔵の獅子頭(比較の為、剥離した朱と眉の黒を補色加工しています)







さて、一宮神社の源右衛門の作の獅子頭に似ている獅子頭が富山県八尾町にあった。

調べると平成21年の1月富山県八尾町で獅子頭展が開催され、なんと95頭の獅子頭が展示されたらしい。

その中で四箇所の地区の獅子頭に一宮神社の源右衛門獅子を匂わせる顔つきの獅子があったのだ。

その獅子は目と歯を白く塗り、井波や金沢の獅子とは異なった風貌である。





八尾の67地区の獅子頭展より




平成21年開催 八尾町の獅子頭展より転載


一宮神社や簗沢八雲神社所蔵の源右衛門の作風は大きな頭部と比較して顎が小さく、目が涙型を

横にした様な形、切り立った鼻、眉毛や額のシワの陰刻に金箔を貼る手法等独特な作風で源右衛門の獅子

を見慣れてくると個性が分かってくる。その感覚で八尾の獅子を見ると、他の獅子との違いを感じるのだ。


一頭だけだと偶然も考えられるが複数の獅子頭に見られる共通の際立った個性は調査する価値があるだ

ろう。

源右衛門が八尾の地で獅子彫りを修行したか、八尾から移住してきたかは判明出来ないが、一宮神社には

上杉景勝公由縁の書状が残されているという。



源右衛門の作の獅子頭をまとめてみた。白鷹町萩野大日堂の二代目獅子頭は当工房で制作している。

簗沢八雲神社の大きな獅子頭には唯一源右衛門の記名が残されていた。

2022.12.13:shishi9:[コンテンツ]

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