なかなか心や手が向かなかったので、木材の最適なコンディションを逃してしまった感が否めない。
そんな焦りを払拭しようと、晦日の獅子頭の納品から正月休みにかけ狂った様に制作した。
重量級の成田五十川型の獅子木地3頭、蛇頭型2頭、龍頭2、それぞれの顎の部材を木取りしたものを用意し
荒彫りを行った。一つの獅子に3日間制作し、次々と取り替えては乾燥させ彫り進めていく。自分の頭の中の
中の立体を司る部位がフル回転し覚醒する様で楽しさも感じる。ふと獅子を見て、気づかなかった歪みを発見
し、苦笑したり、新しい形の美しさを見つけたりと獅子彫は面白いものだ。
川西町の龍蔵神社さんから拝借している赤獅子一対は、昨年10月上山で獅子頭展に展示させて頂いた。
2頭とも高山正則の作で慶應元年と明治29年に奉納されている。置賜の獅子頭の中でも逸品中の逸品の獅子で
明治29年の作は既に模刻を制作し、今回慶應元年の模刻に挑戦している。先日龍蔵神社の方々と打ち合わせする
機会があり、何時迄もお借りする事も失礼と思いお返ししてしまった。その前になんとか模刻の獅子を完成に近
づけたいと必死に制作させて頂いたのだ。手本の獅子は神社の神殿や拝殿の彫刻に秀でた彫師で見れば見るほど
素晴らしい格上の彫りを残していた。

成田五十川型の獅子はとにかく巨大で重い木塊を、なんとか移動し渾身の力を振り絞り、台に乗せるまでが一
仕事。その木塊から外側のフォルムを形どり、内部を削り軽くしてから本格的な彫刻のスタートとなる。それを
3回繰り返しての制作を予定している。二作目の成田八幡の制作も3頭の制作だったが、制作の困難さはあった
だろうが記憶からは蘇ってこないので苦笑してしまう。喉元過ぎれば・・なんとやらである。
龍型の獅子頭は、神社の獅子の80パーセントの大きさに縮小し、その表情の目鼻等を同じにし、眉を変え髭を加
えて龍のイメージに彫るつもりである。これは龍蔵神社の慶應元年の獅子に影響されている。神社彫刻にある龍
を彫りたかったのだが、その提案は却下されてしまった。
今度は一昨日辺りから彫り温めていた元治元年の2頭を仕上げ始めた。2頭を塗りに出す準備である。
獅子の細部の形を決め、彫りを更に修正し舌を4mmボルトで固定し、3mmほどにFRPで補強するための溝を彫る。
これはFRPの3mmの厚みと塗面とを段差を無くすものである。2作を仕上げると歯の厚みとか頬の高さ、鼻筋の長
さとか微妙な個性が現れて比べてみると面白い。重さも3.6kgと3.8kgとかなり軽量で総仕上がりは5kg弱になりそ
うだ。



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