かに開催された。
天候が今ひとつで小雨に加え強風が吹き荒れ、獅子幕がめくれ上がる瞬間もあった。
祭り終了後、強風に耐えきれず幟の鉄製の竿が「く」の字型に変形した。安全の為、直ぐに撤去
されたそうだ。今年の5月は寒暖の差が激しく、もう夏の猛暑が懸念されている。
子ども獅子舞に用いられている獅子頭は白鷹町の彫師 須貝摠一氏作で昨年、破損し修理依頼があ
り修繕をしている。そろそろ新しい獅子頭が必要と感じた。
現在、十日町白山神社の二作目の獅子頭の制作の依頼を受け漆塗りの工程に進んでいる。
また、同時に三人の個人の制作依頼も受け四頭同時制作である。
個人用の三獅子は飾り獅子仕様でカシュー塗料の塗りで仕上げる予定である。
四獅子の同時制作の途中から、子ども獅子奉納をひらめいてしまい遂には五頭同時制作となり、
子ども獅子を繰り上げて今年の例祭まで仕上げ、お披露目しようと目論み間に合った。
子ども獅子の木地制作 頭部に合わせ顎を作る
顎の完成 桐材で耳と舌を作りしばらく放置乾燥
子ども獅子舞用の獅子であるが、激しい歯打ちに耐えうるFRPによる補強を施工した。
獅子の木地には木地の湿気で硬化する塗料を含浸させ、塗りの下地はポリエステル樹脂カーボンフ
ァイバー入りの下地を用いた。塗料はカシュー塗り、仕上げに本金箔を貼り白ヤク毛を使用した。
小振りの獅子にしては長すぎるが白ヤク毛は最長の60センチのヤク毛を二つ折りにして取り付け
ている。
FRP補強し樹脂下地と研磨
カシューのサーフェイサー塗料を塗布し研磨する
子ども獅子用の獅子頭木地は昨年11月から神社二作目と個人三頭、子ども獅子は清水町原野産の
同じ柳材で兄弟獅子となる。
1回目の上塗り
金箔の部分を黄土に色分け
金箔の部分にマスキングテープを切り貼りし金箔を外注 金が高騰し昨年の倍以上に値上げされた
子ども獅子の眼の金と黒目の縁には、極細の赤いラインを入れた。
飯豊町に寄贈された椿の旧家伊藤嘉六家に伝わる山神神社の獅子頭は総宮神社型の逸品の獅子だが
獅子の額には有るはずの星(金のコブ、北極星説から)の代わりに三本のシワがあり、目の輪郭と
黒目の縁に赤い線が描かれていた跡を発見している。獅子頭には記名があり嘉永五年とあり、また
作風から高橋小兵衛と推測している。それをヒントにしての赤いラインなのである。
金箔が仕上がり保護剤塗布し顎の歯の部分に衝撃緩和ゲルシートを取り付ける
一日おいてタテガミの取り付け
長井の獅子らしさが見えてくる
鼻髭と頬毛は長めだがこのまま様子見
来年はこの新しい子ども獅子が祭りでデビューする予定。
神社二作目と個人用の三頭の獅子頭も一緒にお披露目できるだろう。
今回の子ども獅子の施工法で注視したい事は、耐久性である。漆塗りの仕上げが理想だが、あの手
この手を使い、あの強烈な歯打ち耐えうる獅子に近づけたいものだ。
今後の制作に反映させていただきたい。
ズラッと並んだ獅子頭のシーンを考えると楽しみで指が震える。
十日町公民館にて獅子頭の引き渡し さっそく若大将が振り心地を確認
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