予報通り朝から雪の降り方の勢いが違う・・BSのNHKの朝ドラ再放送も観れない。
久しぶりのドカ雪で獅子宿の除雪どころか、車で伊佐沢にたどり着くのも難儀した。幹線道
路の除雪が積雪の量に追いつかない状態だった。車同士もすれ違い出来ず、獅子宿の駐車ス
ペースを除雪するための路上駐車もままならない。
路肩にハザードランプを点灯して駐車し、ひざ上までの積雪に驚きながら軒下の除雪機置き
場にたどり着くが、高齢の除雪機のバッテリーは寒気で上がり凍死していた。スイッチをひ
ねってもウンともスンとも言わぬ、あの絶望感は吹雪と相まって久々のカオス感満載だ。
有無を言わず、新しいバッテリーを買って交換しホワイトアウト中の駐車場の除雪を再開し
た。
気温が上がらず、室内で暖房をストップしたせいか屋根の大量の雪がなかなか落下しない。
取り敢えず駐車場の除雪を敢行し、その日は早々退散した。
翌日、午後から少し陽がさして西側を残しほぼ落下した。西側の屋根の雪がナデコケ無い事
の理由の心当たりがある。大屋根の下にある勾配の無い下屋のトタン屋根の塗装が錆びたた
め雪が滑り難くなっているのだ。メンテナンス不足を痛感する。
ようやく本日、月曜日営業を再開した。
約1週間弱激しい積雪との戦いから屋根から落ちた雪の山や壁を除雪機で削る作業に向かった。
落下した雪は圧縮されて実に重い、除雪機も雪の硬さに負けて進まないので雪を引っ掻く部分
「オーガ」を迫り上げてはバックする作戦で雪を吹き飛ばす。お隣の敷地も意識しながら微妙な
操作が要求される。
午後から日差しで気温が少し上がり、懸案の西側の屋根の雪も一気に大崩落し一安心した。
溜まりに溜まった雪の圧で軒先からミシミシと呻きながら迫り出しきた。
無防備に下に居て落雪したら間違いなく死亡事故の予感して下には近寄れなかった。
以前、大雪で東側の茅葺屋根が積雪の重みでカヤ屋根ごと大崩落した痛い経験が常に頭の片隅に
突き刺さったままでいる。厳冬期カヤ屋根はトタン屋根の様に雪が落下しない。比較的少雪で放
置していて3月になり気温が上がってくる午後、一気に大雪崩でカヤごと落下する現象が恐ろしい。
ぽっかり穴が開いて暗い屋根裏に絶望の光が刺す。
雪下ろしは寒気でカヤ屋根と積雪が、しっかりくっ付いて凍結した頃合いに、屋根に登って雪下ろ
し作業をしなくてはならない。しかし雪下ろしは、ある程度屋根に積雪しないと急勾配の屋根には
危険で登れない。雪を踏み固めながら足場をスコップで階段状の足場を確保する事を覚えた。
雪下ろしの時期をある程度の経験で見計らって屋根に登らなければならないのだ。
特に屋根の北側には1m以上積もって雪原の様相が的期。
これを一人で雪下ろしするには覚悟が必要だ。
まず雪下ろしは西側屋根から始める。
1日かけて西と下屋を下ろし北側に移る。こちらは3日もかかっただろうか?
北側の屋根雪原は、まず最初に軒下から長い柄のつけた雪べらを使って削る。足場は軒下上2mぐらい
上に確保し軒際を雪べらで突っつきカヤ屋根と積雪の境界を確認する。大抵、雪庇状態になっているの
で危険極まらない。
軒の境界の雪を落とし平らな滑走面を作り、上部の雪を突き凍結した最下層を滑らす様に1平米立方体状
にカットした雪のブロックを滑り落としていく。
ザクっザクっと四方に雪べらを差し込んで大量に滑らすと喜びが大きい。それを糧に継続できた。
これは屋根の急勾配を利とし活かしたカヤ屋根の雪下ろし法ではないかと思う。
危険を背負いハラハラしながらの雪下ろしをしていると自然と身に付くもので、いかに危険リスクを
回避し雪の重力を利用し楽をするかという備わった人間の本能なのだろう。北側屋根の半分ほどになると
落雪で地面の雪が繋がり、ちょっとした狭いスキー場に見えてくる。リフトがあれば尻スコップで滑走し
たい欲求が湧き出る。
しだいに高所にいる恐怖心が麻痺してくるものだ。
まだカヤ屋根の時は、囲炉裏で薪を焚いて燻蒸して屋根を保全していた。屋根の最上部の棟の雪にはカヤを
透過した煤が雪を黒く染め燻蒸の効果を証明していた。
東側の屋根に入ると雪の様相は変化しカヤ屋根との境界はザラメ状と化し、足場は何時崩壊するとも言えな
い状況になった。しかし雪の量は北側より湿って重たい感覚である。屋根の角は西から吹き荒れる吹雪で積
雪が押され更に堆積する様だ。これもカヤ屋根崩壊した要因だったのだろう。この辺に来ると体力も落ち疲
労困憊だが、高所からのモノクロの雪景色に癒される。ようやく南側斜面に入ると雪は更に溶解し、その表
情を変貌させる。カヤ屋根期に南側を雪下ろししたのは記憶によると二回。一回は途中で回避している。
あの頃はカヤ屋根の雪下ろしが新鮮な体験で獅子宿に残されていた菅の笠の被り蓑(ミノ)を羽織って雪下ろ
ししたものである。
昔の雪下ろしはもう体験出来ない。良いのか悪いのか・・。はて? あの雪べらは何処に消えたのだろう。
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