現在、獅子踊りの獅子頭三体と面四体を制作している。
獅子頭三体は木型を彫刻し、木型に和紙を張り張子を成形し、現在漆
の塗の工程である。
漆の下地
面の四体は漆塗りが仕上がり取り付けの工程に入った。モデルの面は
張子に漆を塗り仕上げているが、四面とも違う表情なので桐で彫刻し
制作した。
桐材に彫刻
塗り完成左が制作した四面
獅子と面は青苧の繊維を染めて束ねた箕(みの)を背負っていて、こ
の青苧の確保が大変だった。結局、福島奥会津の昭和村の生産組合と
知り合いの骨董コレクターの収蔵品、そして私の秘蔵品を合わせて間
に合いそうだ。青苧の生産は長井でも盛んだったが、現在では皆無で
河北町でわずかに生産している。奥会津からサンプルが届いた。
特上、上、並と三段階にランク付けされ1束100匁(もんめ 375g)で
取引されているが、誰にでも販売されるものでなく今回は伝統芸能に
関する事で販売してもらった。薄っすらと緑がかった青苧の繊維は丈
夫で、糸に加工され着物に姿を変える。
獅子や面の頭部には竹で編んだ籠があり、それに獅子や面を取り付け
る。和紙を張って見えなくなるが、竹籠を編む職人さんが高畠にいて
依頼し完成する事が出来た。以前制作した獅子踊りの獅子頭の時にも
お世話になっている。
獅子の張子は山形市住で張子作家さんの「アート大福」さんにお願い
して張子にしてもらった。展示会開催前の多忙な時に時間を裂いて制
作していただいた労作である。
桐材の木型
張子に仕上がる
夏に長野の保存会の皆さんが獅子宿に訪れ、打ち合わせを行った。
普段の獅子頭制作と違い、一人立ちの獅子踊りの獅子頭や面は目の位置
や顔に取り付けるクッションや被った時の案配など非常に繊細である。
前回制作した福島三春の獅子踊りや、いわきの獅子とは違い複雑な調整
を要する制作になっている。
天狗面が被る鳥兜も縫製のプロに依頼し制作中だが、なかなか難航して
いる。モデルの鳥兜は大正から昭和初期に作られ厚紙で型取り金と銀紙
を貼って仕上げている。
顔の側面隠しにひさしを追加した
その制作は厚紙で型を作り、生地用の芯材と金銀の生地を熱で圧着し縫
製するのだが、机上のアイディア通りには簡単に行かない。
この様に獅子踊りの獅子や面は、木型や張子、竹籠、漆、縫製、青苧生
産農家の職人達の貴重な技術の結晶であると感じる。
間も無く獅子三体が塗り上がって来ると、いよいよ仕上げは佳境に入る
だろう。
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