豪華絢爛
黄金の獅子頭が入荷した。
昨夜からその荘厳な姿に目が釘付けになっている。
目に馴染むまでしばらく時間がかかるだろう
獅子頭に白ヤクの毛で二枚の板にタテガミが取り付けてあり、だいぶ汚れて黒ずんでいる
ので直ぐに洗浄する事にした。
洗面所にぬるま湯を張りセスキ炭酸水とウール用の洗剤を入れ浸すと、汚れが浮いて出て
きた。それを三回ほど繰り返すと汚れが落ちてヤク毛に白さが戻った。それを乾燥し組み
立ててみる。取りつけてあった獅子頭には直接毛を植えず、二枚の板にすだれに編んだヤ
ク毛を取り付けているが、最初の順番通り取り付けると黒い裏地が見えておかしい。
金箔が見える様に順番を変えると違和感なく収まった。
脳天に大きな如意宝珠の棒を固定する溝がある。
タテガミが固定する二枚の板の中央に同じ溝があり如意宝珠の棒を通し、重しのように板
を固定する。如意宝珠は中央から接合され、木材の収縮の為に合わさり目の下地が割れて
剥離している。獅子頭や耳も寄せ木作りだが重さは7.8kgと複雑な装飾の獅子の為か重い。
牙を剥き出して威嚇する険しい表情で特に、頬が隆起し正面から眼が見えないので見る者
と視線が合わない程である。軸棒に板を挟んで後頭部をあげてみると眼が現れ、視線が合
い凄みがグンと増して来る。赤い縮緬生地の座布団の四方角には飾り紐が付けられ細部に
渡って凝った作りで、欅の台座には牡丹の彫刻が付けられている。よく見ると一箇所だけ
家紋と見られる彫刻が中央に刻まれ、その家紋の左には蕾も見える。
獅子箱の文字の左に取り付けられている物は用途が不明
家紋は左三ツ藤と思われ常陸(ひたち)麻生藩新庄氏(茨城県生方市麻生)の家紋でもあ
るという。
獅子頭はオークションで入手したもので、送り先も茨城県土浦市のストアであり、茨城県
近辺から出た獅子頭の可能性も考えられる。
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