明治、大正、昭和、平成の時代を経て神社の獅子頭奉納の記録を見て、同時代に複数奉納される
事は稀であり、また同一獅子彫師作の獅子頭が複数新調される事は皆無だったろう。
左 本年奉納の獅子頭 右 二作目の獅子頭
本年、成田の若宮八幡神社では当工房制作の三作目の獅子頭が神社に奉納された。
一作目制作以前には成田地区の個人宅に二頭制作させていただいている。
平成26年(2014)に二作目の制作の際、三頭分の獅子頭木地を用意し、その中から神社に適した
獅子を選んで制作し奉納されたのである。後の二頭は仕上げて総代長と角力からの依頼があり購入
していただいた訳である。その当時、総代長からは、何年か後に神社に奉納したいとの話があり、
振り獅子仕様に補強していた。そして10年を経て本年いよいよ、三作目が元総代長から神社に奉納
され、9月8日の例大祭デビューとなったのである。成田地区ならではの信仰心の深さを感じる奉納
である。
口の開閉の状況確認 少し軋む音がするので油を注す
口幕の穴開けもなかなか珍しい
穴の場所の確認
8月27日成田若宮八幡神社の社務所に呼ばれ、獅子頭内部の口幕(もみ)の取付穴を開けと、10年
ぶりのメンテナンスを行った。頭と大勢の若い衆達が見守る中2mmの穴二つを開ける。そこから
紐を通し、赤い布に竹ひごを通した「みの」を吊り下げる成田独特の口幕である。総宮神社系は
獅子頭内部に輪になった金具を三個取り付け細い糸を独特な結び方があり取り付ける。
また、耳を固定する紐に赤い布を取り付ける神社もある様だ。五所神社はあえて口幕を取り付けず
獅子の舌にお神酒を注いで獅子振りがいただくと言うやり方もある様だ。
新獅子頭参上
9月8日
拝殿入口の「七五三の舞」から境内に移動する寸前の際、獅子が出ると同時に近くで祝砲の打ち上げ
花火が絶妙のタイミングで上がった。
びっくりして空を見上げると花火の空玉が神社の屋根に落ちて、跳ね返り目の前に落ちてきたのである。
これは、若宮八幡様の空からのご褒美だったのだろう・・・と。
勇ましい獅子と角力
こちらの獅子舞は獅子振り達の稽古が万全で、惚れ惚れしてしまう。
翌日、奉納された三作目の獅子頭はデビュー戦の例大祭の獅子舞を無事にお勤めしたと連絡をいただいた。
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