幕付け伝授

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西大塚八幡神社の獅子頭  令和四年 渋谷の作 
直縫いの幕付け



獅子幕に付いているタテガミの縄のほころびも修理



いよいよ9月に入り、夜な夜な獅子舞太鼓の音が、開放した窓から9月の夜風と共に注ぎ込んでくる。

なんと風情ある夜の帳だろうか。


さて先月、獅子幕の取付を二件頼まれる事があり、合計四頭の獅子頭に幕に取り付けた。

取り付け方は神社毎にあるようで様々に伝授されている。


獅子頭の幕穴にはじめから紐を通してあり、その上から幕を縫い付ける方法「幕縫い」と、直径1cmの

程のロープをあらかじめ獅子幕の端に縫い込んだ幕を、そのロープを取り付ける様に幕穴に紐を通し固

定する「直縫い」の二通りが存在する。





今泉の獅子幕には直縫い用のロープが縫い付けてある端から少し下に穴を開け、別のロープが通してあ

った。その紐に縫い付けるのだが、そうなると縫い付けたロープの存在意味がなくなる。飯豊町の何処

かでも今泉と同じ様な幕を縫製した記憶がある。



また飯豊町の某神社の獅子幕を改造をして、幕取付部を広げた。獅子頭を取り付ける際、穴の大きさが

狭く獅子頭を取り付けるとギリギリで、幕に引っ張られ口が閉まらないという現象が起きてしまうのだ。


獅子幕新調の際、獅子頭の幕穴に紐をなぞらえて長さを測り、その長さに20センチ程足した長さのロープ

で輪を作る。それに布を縫製して獅子頭取付部を作る。それに合わせて獅子幕本体をピッタリ縫い付ける。

この縫製技術は慣れないと難しく、とある染め屋さんではロープにピッタリ合わせるのではなく、布地をた

るませた蛇腹状態で強引に縫製している幕も見られる。


コロナ禍で獅子舞が数年途絶えた為、獅子幕の取付方が怪しくなった為、取付の依頼が二件あった。

そして某神社そばの公民館にお邪魔し、幕付けを獅子連の幹部数名と一緒に幕付けを行った。



公民館で直縫い幕付けの伝授


しかし年に一回ではなかなかマスターは難しい


頭部の幕穴に縫製したロープを巻き穴に通し中で絞る様に固定する方法を伝授。

動画撮影しながらも一回では、すぐマスターするのは難しいでしょうね。また一年時間を経過すると忘却は

必須です。




歌丸神社の獅子幕付け

 先日、ちょっとした獅子頭の修理に歌丸神社に出張した際、丁度幕付けを行っていた。

こちらの獅子幕には取付用ロープが無く、幕の端には厚手の布地が縫製されていて、獅子頭の幕穴に紐が通さ

れていた。幕を裏返し獅子頭に被せる様にして取付し、幕を返すと縫った部分が折り返される方法だった。

元秋葉山神社の天保九年の獅子の幕は細目の紐が内蔵されていたので、幕付けの方法も変わったのだろう。



拝殿での獅子振り  修理で8kg に増量した獅子頭


正に強烈な筋トレ 


今回お祭りで使われる獅子頭は、当初太田康雄氏の作の獅子頭と思われてきたが、頭部は晩年の渡部亨氏の

作の可能性と推測される。渡部亨氏の息子さんのお嫁さんから戴いた、歌丸神社の獅子頭木地と酷似している

事から判明した。当初、獅子の重さが、7.8kgでスペアの顎もあり修理して重くなったと考えられる。修理は

太田氏が引き継いだとも考えられる。

 

 当工房の修理で更に重さが200g加わり8kgとなりヘビー級の獅子頭になったが、獅子振り達はモノともせず

水平に大きく獅子を振って稽古している。


来年は新しい歌丸の獅子頭をお納めするが、この稽古を見て軽く作り過ぎたかな?という懸念が頭を持ち上げてきた。

1.5kg程の加重を検討しよう。
2024.09.10:shishi9:[コンテンツ]

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