森助モデル漆塗りの進捗
長井市勧進代の総宮神社の新しい獅子頭の漆塗りの制作が大詰めを迎えている。
獅子頭の木地に希釈した生漆を塗り染み込ませる「木固め」から、パテ状の錆下地を塗って研いで平滑な
塗面を作っていく。この工程が想像出来ないくらい手間のかかる過酷な繰り返しの作業である。
水研ぎサンドペーパーや硬い炭で研磨していく。特に眉から目の窪み、耳の下の巻毛の仕上げが難しく忍耐
力の限りを尽くす難所だろう。その工程を終え、艶を抑えた下塗りが完了したとの連絡が入り、その様子を拝
見しにお邪魔した。工房は長井市駅前にある「江口漆工房」である。漆器ギャラリーには漆独特な淡い艶で輝
く漆器が展示されている。化学塗料やカシュー塗料では出せない色艶である。
そのギャラリーの一画をお借りし塗り立ての獅子頭を置いてスポットで照らすと、まだ下塗りの抑えた艶が
溢れるように輝いてくる。内部を含め、これからすべての面を研ぎ出し、黒や朱、金箔の箔下部に色分けする
上塗りに入る。そして金箔を置き、一番難しい蛇の目の眼を描く。筆で一髪勝負で描き入れるのだが、ここは
難関中の難関だろうと想定している。今月中に塗りの仕上げを予定しているが、完成を想像すると心が騒いで
もうワクワクが止まらない。後は熟練の塗師に全てを委ねるのみだ。
漆のサンプル 森助獅子の血眼をどう再現するか・・
この眼の表現は金箔を用いた白檀塗りの技法を使ったのでは無いかと推測している
2024.01.15:shishi9:[コンテンツ]
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