25日より飯豊萩生諏訪神社型の小獅子の制作を始めた。
神社で使用する獅子頭の0.66倍の大きさである。
実は見積もり依頼のボリュームを見るための試作のはずだったのだが、思いの外に制
作が進んだ。いつの間にか木材の塊から獅子が現れた感がある。超安産の獅子は幾つ
か思い出すが成田若宮八幡様の2作目もそうだった。陣痛どころかツワリもなく、迷
う事なくスルッと生まれてきた。大袈裟に言えばモデルの平吹獅子が憑依したのだろ
う。
最近、近郷各地から獅子舞に夢中な子供さんが訪れる。特に幼稚園から小学生低学年の
男の子が目立つ。その子らは既に太鼓をマスターしていて、朝からyoutubeの獅子舞を
見て、頭の中でバーチャル獅子舞が開催するのだという。獅子宿の太鼓を見つけて、ウズ
ウズしている様子なので笛を吹いてあげると獅子舞の鳴り物共演が始まるのだ。
どういうきっかけで獅子舞夢中症候群なるものが発症するのか原因究明中だが、めぐみ幼稚
園の例では黒獅子まつりの影響後が顕著だという。主に各地区のお祭りの獅子舞での獅子舞
体験や歯打ちなどの恐怖体験の裏返しではないだろうか?
また、さらに旧家に伝わる小さな獅子頭が更に夢中度を高める効果がある様だ。
小獅子の制作は昭和初期、それ以前、江戸期まで遡る。獅子宿のコレクションには天明期、
高橋小兵衛の作と思われる小獅子もあり、昔から獅子舞の伝承に大切な役割だった事が分
かる。現代では一時期プラスチックや伊勢で作られた木屑を固めて作った獅子もあったが
手間隙の割に費用対効果の少ない小獅子は販売されていない。
しかし、小獅子の持つ効果はこれからの少子化の時代に獅子舞後継者育成の強力なアイテ
ムの一つとなるだろう。ウチの孫は獅子舞開始の適齢期だが、まだ本格的目醒めは訪れて
いないようだ。家の中に神社以上に大小多様な獅子頭があるというのに、獅子頭は目に入
らずレゴ組み立てに夢中だ。私の獅子の目醒めは30歳頃からで、獅子頭を制作する以前に
造形美術の世界にどっぷり浸っていた。平成4年にFRPで大獅子を制作したのが獅子彫りに
繋がった。その技術があればこそ、現在も獅子頭の工芸や民俗に深く魅了され止まないのだ
ろう。
これから数十年後は獅子彫り、漆塗り、染め屋、藁工芸など獅子舞に必要な道具を支えて
きた伝統的な工芸家達が消えていく。優秀な工芸家の後継者も現れ、現代の科学や技術を取り
入れれば代用品も制作できるだろう。歴史を見ると、ずっとそうやって繋がってきた。
心配無用と信じたい
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