4で終了予定だったのだが、細かいくどい話が残っている。性格が出るね。
とある方から昭和初期の彫り師 九野本 竹田吉四郎氏の作の小振りの獅子頭のタテガミ交換の依頼を受けた。
南陽の骨董商から入手した獅子頭で耳が後から作り直されていた。獅子の塗りも黒からやや褐色に変化した
味わいのある逸品である。その耳の形と塗りが総宮型とは違った塗りをしている事が印象にあった。
昨年、米沢林泉寺の亨氏の御子息宅にお邪魔した際、提供された貴重な資料の中に複数の獅子の耳があり、
その中に下塗りされ朱が塗られた耳があった。その耳と竹田吉四郎の作の耳の朱の塗り方が同じなのである。
とすると、竹田氏作の獅子の耳は亨氏に依頼されたものだったのだろうか? 総宮型だとこのような丸くは塗る
はずは無い筈である。細かい事だが、私には気になる話なのだ。
もっと細かい話。
やはり亨氏の取材をした際、茶の間にネットオークションでよく見る天狗面が飾ってあった。
この様な天狗様
以前、飯豊町の獅子を取材した際、天狗山の神社を調べた時に大きな天狗面があり亨氏の作でないか調べた事
があった。天狗山に登頂する機会があり、途中神社拝殿を調べる予定だったが、同行した関係者が拝殿の鍵を
忘れ実現しなかった事があった。息子さんの奥さんにその話をすると、やはり亨氏の作品と言う事だった。
そのモデルとなった石膏でエアブラシで塗装された天狗面も拝見した。亨氏の天狗面も眉毛を白くボカした
塗りでヒゲは白い何かの繊維をつけている様だ。奉納のお礼に神社にあった一対の天狗面の片方を謝礼とし
て贈呈されたのだと云う。
「気ままに南東北」から引用 亨氏の作と思われる巨大な天狗面
昭和の獅子彫師 渡部 亨氏にまつわる話はまだまだ出てきそうだ。
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