綱木で仕入れたイタヤカエデ角材を木工旋盤で加工してみた。
昨日訪れた、田中氏のこけし工房の木工旋盤とは比較にならない原始的な設備であるが
そこは技術と忍耐力で、なんとかカバーしなくてはならない。
軸棒の両端用コブの制作
考えてみると江戸期の獅子頭の軸棒やコブはどう制作されたのか気になる所である。
長井市の中心を流れる野川のかなり上流、木地山ダムのさらに奥に、木地師の工房が設置
され、お椀などの食器を生産し栄えた時代があり木地山の名前の由来に繋がるのだろう。
その時代は電力など無い時代、おそらく人力による動力でロクロを回し豊富な森林資源を活かした
木工の工芸や漆芸が野川の奥で営まれていた。
戦後のプラスチック製品の登場で木工芸は衰退し、現代に至るがマイクロプラスチックの汚染問題が
浮上し飲料水どころか人体の血液にマイクロプラスチックも確認されるまでになっている。
しかし、では昔に戻って木工漆芸が見直されるかといえば疑問である。
話を戻してイタヤカエデの旋盤加工を試してみると、乾燥状態も材質的にも大変良好だった。
モデルの獅子頭の軸棒は直径18mmと比較的細く、逆に両端のこぶは直径4.2mm1.5mm厚と
大きめである。両端のコブの位置は水平では無く獅子頭の軸棒穴の微妙な湾曲に合わせて角度
調整されている。もし水平に取り付けられていれば、軸棒を差し入れた場合に回転するが、モ
デルの場合、ある場所でピタリと合致し動かないのだ。つまり口の開閉は顎の可動である。
また、コブと棒を角材から一体的に削り出す方法と、コブと棒を別々に加工し取り付けする方法
があり、モデルの軸棒は後者である。試作してみると45mm角材から18mmの丸棒に削り出す事
より、別々に加工し接着した方が効率的な加工だ。直径42mmの丸棒を削り1.5mm厚に溝を削っ
て制作した。その他乾燥収縮を考え直径19mmの丸棒を制作(乾燥すると楕円に変形する時がある)
丸棒の長さは40cmを超え、細い材だと中心部分が刃の圧力で振動し滑らかな加工が困難になる。
たかが丸棒されど丸棒・・・ホームセンターで購入した丸棒でも用は足りるが、木工旋盤を駆使する
事が出来れば、色んな事を知り、出会いがあり、また一層深い獅子が生まれるだろう。
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