置賜の大獅子について 1

  • 置賜の大獅子について 1
置賜地方に存在する大獅子頭について調べている。

大獅子の大きさの規定は、決まりは無い。神社例祭用の獅子頭の大きさは奥行き35cmから50cmと
様々で決まり事はないが、総宮神社系の黒獅子は38cmから40cm程度、白鷹鮎貝系は50cmと大きく
西高玉稲荷の獅子は60cm前後と大獅子級の規模である。今回大獅子として紹介する獅子頭は、西高玉
稲荷以上の大きさの獅子頭である。このサイズの大獅子頭に注目したのか? 自作の未完成の大獅子を、
なんとか完成させる為の自分に負わせるプレッシャーでもあり、この夏に計画している「置賜の大獅子
展」の資料制作も兼ねている。


1. 米沢市簗沢の八雲神社所蔵の大獅子頭

安永六年(1777年)笹野の源右衛門の作と記名が残っている。
取材の際、大獅子サイズである事は確認しているが採寸を忘れ、現在大獅子に認定できる証拠が定かで
ないのは悔しいところである。この記名が残っていた事から、作風比較で数多くの獅子頭が源右衛門の
作の獅子頭が現れてきた事から、重要な情報を有する獅子頭である。その作風は越後の獅子頭の特徴と
推測される。





2.米沢市広幡の一宮神社所蔵の大獅子

記名は無く上記の八雲神社大獅子頭の作風と比較し同様であり、源右衛門の作と推測できる。一宮神社
は越後からの由来と聞いている。又、米沢市徳町の疱瘡(ほうそう)神社所蔵の獅子頭に源右衛門の作風
の獅子があり、頬に血管が浮き出た様な彫りがあり、それらの特徴が白鷹町萩野の大日堂の獅子頭作風と
同様であり、越後由縁の歴史もあった。又白鷹町鮎貝の旧家黒沢家所蔵の獅子頭にも源右衛門の作風があ
る事を調査している。


徳町疱瘡神社所蔵の源右衛門風の獅子頭



黒沢家所蔵の獅子頭 源右衛門の作風


3.パレス松風の川部次郎氏作の大獅子

最近になり確認した大獅子で白鷹町萩野出身の川部次郎氏作の大獅子がパレス松風に寄贈された。作風を
見ると萩野大日堂の獅子頭を模した大獅子と推測される。萩野大日堂の獅子頭が米沢笹野の源右衛門の作
であれば江戸期安永六年頃に獅子頭奉納された可能性がある。


初代の大日堂獅子頭 目にガラスが入っている
私が二代目を制作した時、奉納者が川部某家と関係しているとの聞き覚えがあり調査中である。

                               つづく
2022.03.14:shishi9:[コンテンツ]

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