一通り獅子頭の各パーツの荒彫りをしたので、頭部の制作に戻る。
手本にした獅子頭の耳を外してみると、大胆な修理の痕が見えてきた。
耳の軸を差し込むホゾ穴に、板を接着して補強した断面を発見した。
両耳のホゾ穴に修理の痕がある
そもそも補強なのか、最初の制作なのか確定できない。耳のホゾの部分は獅子頭の側面であり、
コブが6個も付いている場所なので、修理とすれば大変複雑な手間を要する。
獅子頭には全体的に亀裂が多数あり、直線的な断面も目立つ。
さらに目や眉などの、谷部分(凹部)に割れが連なっていて、まるでバラバラになったパーツを
かき集め、一回り大きく拡大した修理のようにも見えてきた。
修理の際に消えたのか記名は無く、獅子箱に修理の元治元年とあるだけである。
軸棒の末端と頭部の軸穴部の間に、鉄製の栓が見える。これを外し軸棒を抜き、顎を外す事ができた。
しばし手本の獅子頭を側に置き、獅子頭木地の彫りを進める。写真資料では確認できない立体の情報を
会得できる事は実にありがたい。ただし、収縮を考慮し彫りすぎない事。頭部が7頭分あるのでローテー
ションし慎重に制作したい。
この記事へのコメントはこちら